国民、辺野古政策にブレ 「埋め立て停止」を衆院選直前に取り下げ
政府が進める米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画に対する国民民主党のスタンスが変化している。衆院選を前に「埋め立ては一旦停止」などとした従来通りの政策を発表したが、その後に「一旦停止」の文言は削除。衆院選後の記者会見で、榛葉賀津也幹事長は現行計画の見直しは求めない考えを示した。一方、党の公式ホームページ(HP)では「一旦停止」とした政策が12日現在も掲載されており、国民に分かりにくい状態になっている。
自民党、公明党の連立政権は衆院選の結果、「少数与党」となり、予算や法案の成立に一部野党の協力が必要になった。キャスチングボートを握る国民民主が今後、辺野古移設計画や関連予算に対して、どのような姿勢で臨むのかも注目される。
国民民主は10月8日に衆院選に向けた政策を発表。公式HPからダウンロードできる政策パンフレット(PDF版)では、「日米同盟」の項目で辺野古移設に触れ、「軟弱地盤の問題もあり、期間や費用も大きく膨れ上がる辺野古の埋め立ては一旦停止し、沖縄の民意を尊重し、日米間で合意できる『プランB』の話し合いを行います」とした。内容は2022年の参院選時と同様で、辺野古移設以外の代替案を模索する姿勢を示した。
同党によると、3日後の10月11日に政策パンフレットは最新版に更新した。辺野古移設については「軟弱地盤の存在が明らかになり、期間や費用が当初より大きく膨らむことが懸念されています。普天間基地の代替機能を計画通り果たすことができるのかなど日米間で十分に協議します」と内容を変更。「埋め立ては一旦停止」や「プランB」といった文言をなくした。政策パンフレットの内容変更は報道機関向けには情報提供しなかった。
一方、その後もHP内の「政策各論」のコーナーでは変更前の政策が掲載されたままで、衆院選の公示(10月15日)や投開票(同27日)を迎えた。
この件について、榛葉幹事長は11月8日の定例記者会見で、改選前は所属議員が少なく対応できなかったと釈明。政策について「齟齬(そご)があればブラッシュアップして、沖縄の皆さんの声を聞きながら対処したい」と述べた。その上で、緊迫した台湾海峡の情勢などを挙げ、現行計画の見直しは求めず、辺野古移設容認も含めて党内で改めて協議する考えを示した。
沖縄県の玉城デニー知事は11日の取材に「これから(党内の)協議の内容が明らかになってくると思う」と述べ、国民民主側の詳しい説明を待つ考えだ。【比嘉洋】
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