「双子」だった東大寺の仏像 収蔵庫で眠る文化財、調査で発見
行政が把握する文化財に指定されないまま東大寺(奈良市)の収蔵庫の奥で眠る数多くの仏像について、同寺の岩田茂樹・上席研究員(65)が調査を進めている。昨春には人知れず保管されていた毘盧遮那如来坐像(びるしゃなにょらいざぞう)が、別に祭られていた釈迦如来坐像(未指定)と双子のように酷似していることを発見。県内では珍しい「院派」の同一仏師が作ったとみられるとして、現在では寺内の指図堂で並べて祭られている。
県内には歴史的に多くの仏像が残り、国宝・重要文化財も、彫刻物に限れば499件(11月1日現在)と全国で最多。特に国宝は76件と、全国141件の過半数を占める。
岩田さんは元奈良国立博物館上席研究員。東大寺の未指定文化財に目を向けたのは、2006年に奈良博で開いた展示がきっかけだ。調査のために初めて入る許可が得られた収蔵庫の「勧進所経庫」には3段の棚に未指定の像がずらりと並び、思わず息をのんだという。22年に同寺職員となった後も、ライフワークのひとつとして研究を続けてきた。
同寺が9月末に発表した研究成果の調査報告書第1巻では、仏像や像の部品、銘文の入った札など90件を紹介。うち南北朝時代(14世紀)の作とみられる毘盧遮那如来坐像(高さ67センチ)は、衣の表現や内部で前後の材をつなぐ構造などが指図堂の釈迦如来坐像(高さ66センチ)と瓜二つで、同じ仏師が同時に作ったと考えられるとした。
いずれの坐像も箱形と表現される四角い顔やうねりの強い袈裟(けさ)の表現が特徴的。県内に多い「慶派」仏師の像とは違い、京都や関東で活躍した院派の作風だ。指図堂には釈迦如来坐像のものと対になる台座も伝わり、元は毘盧遮那如来坐像のものだったと考えられる。
また8~9世紀の朝鮮半島で多い「智拳印」(左手の人さし指を右手でにぎる印)などの表現から、寺外から持ち込まれた可能性が高いとした。これら以外にも平安~鎌倉期の像が多く確認できたという。
県内では明治の廃仏毀釈(きしゃく)を機に移された仏像が本山となる寺や地域で保管されていることが多く、他県なら博物館などで展示されるレベルの像が未指定のままになっていることも多い。東大寺でもまだ把握しきれない仏像が数多くあるといい、岩田さんは「文化財指定されて存在が知られれば盗難の恐れが生じるという見方もあるが、指定やこうした調査はむしろ被害に遭った場合の手がかりになる。地域の仏像も詳しく調べてもらいたい」と話している。【稲生陽】
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