「死者40人」と政府システム推計 能登半島地震の発生直後に
災害関連死も含め死者約500人に上った2024年1月の能登半島地震の発生直後、政府が地震による直接的な死者を「40人」と推計していたことが判明した。この情報は首相官邸に共有され、災害対策本部の設置など初動の参考情報として活用された。結果的に過小評価となったことに内閣府は「問題はなかった」としているが、被害を算出するシステムの推計方法を見直す方針。
◇1キロ四方ごとのデータから算出
内閣府が整備する「地震被害早期評価システム(地震DIS)」は、震度4以上の地震が観測されると自動的に起動し、被害を推計する。毎日新聞が能登半島地震について情報公開請求したところ、発生から約14分後に、死者40人▽重傷者810人▽全壊棟数1万1000棟――と算出していた。自治体別では輪島市で死者20人、珠洲市で10人だった。
実際の被害は、災害関連死を除く直接的な死者・行方不明者は230人で、推計は大幅に少なかった。一方で実際の重傷者は約400人、全壊棟数は6443棟で、推計が上回っていた。
システムはまず気象庁の震度情報を基に、1キロ四方ごとに全壊する建物数やその割合を推計。それに人口のデータを掛け合わせ、死者を推計している。市町村ごとに建物の耐震化率が反映されているが、年齢分布や季節などは加味されていない。
能登半島地震では、全国的にも高齢化率の高い能登半島北部に被害が集中した。警察庁によると同年10月末時点で、直接的な死者のうち70代以上が約6割を占めている。また発生当日は元日で、帰省者などの滞在人口も多かった。冬季で低体温症により死亡したケースもあった。
内閣府防災のシステムの担当者は「即時に推計を出すのが目的で、精度を上げればそれだけ計算に時間がかかる面もある。ただ、今回の地震の結果を踏まえて改修を図りたい」としている。
◇対策本部設置の参考情報に活用
能登半島地震では発生から約1時間半後に防災担当相をトップとする「特定災害対策本部」が設置された。特定災害対策本部は「死者・行方不明者数十人規模」の災害を念頭に置いたものだ。ただ今回の地震では、被害の大きさが徐々に明らかになり、発生から6時間半後に首相をトップとする「非常災害対策本部」に格上げされ、初会合は翌日となった。
内閣府防災の危機管理担当者は「能登半島地震は情報収集が難しく、まずは特定災害対策本部の設置となった。DIS推計の『40人』は参考にしたが、その人数だけで設置する対策本部の規模を判断しているわけではない」と説明する。
地震災害時の情報伝達に詳しい日本大の中森広道教授は「システムをより初動で役立てるならば、高齢化率や季節といった要素も推計で考慮すべきか検証する必要があるだろう」と指摘した。
政府は1995年の阪神大震災を機に翌年からDISを導入している。DISを含む総合防災情報システムの整備や保守管理の費用は東日本大震災が発生した2011年度以降で約50億円。【露木陽介】
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