警察庁、前サイバー捜査課長を懲戒免職 捜査費を私的流用

2026/09/10 20:12 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 捜査費約170万円を私的流用したとして、警察庁は10日、伊貝耕(いかいこう)・前サイバー捜査課長(55)=警視長、長官官房付=を懲戒免職処分にした。2022~26年の間に偽造した領収書で架空請求するなど50回にわたり、捜査費名目で現金をだまし取っていたという。このうち13回、計90万円分について警視庁は詐欺と偽造有印私文書行使、背任容疑で書類送検した。中央省庁の課長級幹部が懲戒免職となるのは異例。

 伊貝前課長は技官として採用されたキャリア。22年6月に、サイバー捜査部門のリエゾン(情報連絡員)として欧州刑事警察機構(ユーロポール)に派遣された。25年9月にサイバー捜査課長に就き、26年6月に官房付となっていた。

 警察庁によると、22年7月~26年4月の間、①海外治安機関の協力者に対する謝礼として日本酒購入費などを名目とした偽造領収書による架空請求(13回、約90万円)②協力者との会食と偽り、部下職員らとの会食に捜査費を使用(33回、約62万円)③海外機関主催の交流会用に購入した食料品などの費用について、同機関から補助金を受け取りながら全額捜査費としても請求する二重計上(4回、約21万円)――が確認された。また、20年以降、知人女性と不適切な交際関係を続けていた。

 今年6月、海外機関主催の交流会で補助金を受給していたことが後任のリエゾンの話などから判明。内部調査で不正が発覚した。前課長は「自由になるお金がほしかった。生活費のほか、交際相手との交際経費や遊興費として使った」と事実関係を認め、不正に得た金は全額返済した。

 領収書は、海外出張時の航空機内などで業務用パソコンのペイント機能を使って偽造。購入した日本酒の本数を水増ししたり、領収書を複製して日付を書き換えたりしたという。「やってみたら精巧にできてしまった。精算時のチェック機能も働いていなかった」と話しているという。

 山本哲也・首席監察官は「捜査費の適正執行を確保する立場にある幹部職員によるこのような行為は言語道断。国民の皆様に深くおわび申し上げる」と謝罪した。

 大半の不正は伊貝前課長がリエゾンだった当時のもので、警察庁は海外出張での所属長のチェック体制に問題があったと説明。捜査費の執行計画書の事前提出と事後報告の内容を厳格化するなどの再発防止策を示した。

 警察庁は監督責任を問い、当時のサイバー捜査課長2人を警察庁長官注意、当時の同課理事官2人を業務指導の処分にするなどした。【深津誠】

毎日新聞

社会

社会一覧>