<football life>「史上最速」でW杯出場決定 森保ジャパンが順調すぎる理由
サッカー日本代表が8大会連続8回目のワールドカップ(W杯)出場を決めた。アジア最終予選を3戦残した「史上最速」での順調な歩みは、過去にない継続性がもたらした。
16強入りした2022年W杯カタール大会後、日本サッカー協会は森保一監督の続投を決めた。男子の日本代表監督がW杯後も継続して指揮するのは初めてで、22年12月の続投記者会見で森保監督は「積み上げてきたことをさらにブラッシュアップさせる」と意気込んだ。
既に土台が築かれていたチームで、中盤や前線の選手はカタール大会で軸となったメンバーが引き続き主力を担ったことで成熟度が増し、新戦力としては前線で小川航基(NECナイメヘン)がゴールを積み重ねた。守備陣もGK鈴木彩艶(パルマ)らの台頭で選手層に厚みが出た。
優勝候補に挙げられた24年1~2月のアジア・カップで準々決勝で敗退したことも、プラスに変えた。対戦相手のロングボールを使ったパワープレーに苦しみ、冨安健洋(アーセナル)がこの時のチームについて「熱量を感じなかった」と振り返るなど、劣勢をはね返すメンタル面でも課題が出た。
ただ、アジア杯を経て24年6月のアジア2次予選の終盤以降、従来の4バックから「攻撃的3バック」に変えた。このシステムでは守備的な選手が起用されることの多い中盤の両翼に、三笘薫(ブライトン)らアタッカータイプの選手を置いたのが特徴だ。システム変更が功を奏し、最終予選の試合では重厚な攻撃で主導権を握り続けた。
日本が今回の最終予選で同組となった5チーム中、オーストラリア、サウジアラビア、中国は前回W杯の最終予選でも対戦した。この時は序盤に2敗するなど苦しみ、サウジアラビアに次ぐグループ2位での予選突破だった。
今回のW杯でアジアの出場枠は、22年大会までの「4・5」から「8・5」に大幅に拡大した。予選突破のハードルは以前よりも下がったが、最終予選を無敗で首位を独走したままW杯出場を決めたことに、日本の成長が表れている。
前回の予選も経験した南野拓実(モナコ)は「今の代表選手は欧州のレベルの高い環境でプレーして、レベルを毎年上げて(代表に)帰ってきている。その積み重ねが今の代表を強くしている」と語る。
3月のW杯最終予選2試合に向けて選出された27選手中、欧州のクラブでプレーする選手は22人に上る。森保監督は後に発言を訂正したが、選手を現地視察する機会を増やすため、2月には自らが欧州に居住する案を口にしていた。
W杯に向けては欧州や南米などの実力ある相手にも、攻撃力を発揮して試合を支配できるかがポイントになる。森保監督や選手が目標として公言する「W杯優勝」に近づくには、それが不可欠だ。【高野裕士】
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