陸上競技場で磨いたダイビングキャッチ 英明を救う センバツ
◇選抜高校野球1回戦(23日、甲子園)
◇○英明5―3高川学園●
外野の真ん中からグラウンド全体を見渡した。
英明の中堅手の矢野壮馬にとって、初めての甲子園。「やっぱり、広いな」。でも、落ち着いていた。
四回表にチーム2点目となる右前適時打を放ち、3点を先行して迎えた裏の守備。この試合初めて、外野に打球が飛んできた。
この回先頭の1番打者がすくい上げた当たりは、中堅方向への浅い飛球に。矢野は迷わずスタートを切った。
「絶対に前で捕る」
チーム随一の俊足を生かし、帽子を飛ばしながらダッシュ。懸命に右腕を伸ばして打球に飛びついた。
「気付いたらグラブに入ってました」
拳を握り、ほえた。
英明の練習グラウンドは、高松市街の校舎から10キロほど離れた場所にある。右翼が約40メートル、左翼が約70メートルの長方形で、外野のスペースはない。
そのため、外野手は日ごろの練習で、グラウンド近くの陸上競技場を使っている。
外野陣はトラック内側のフィールドを外野に見立て、ノックを受ける。ここでは捕球の練習や、打球への感覚を身に付けることに専念する。
とにかく足を動かし、打球の正面に入る。連係プレーができない分、捕球の基本を徹底してきた。
正規の球場で練習できるのは週1、2回に限られる。ノックと違う「生きた打球」を受ける貴重な機会だけに、外野陣は一段と集中力を高めて臨んできた。
日ごろの成果が詰まった好守備に、香川純平監督は「ナイスプレーですよ」と手放しでたたえた。
先発左腕の冨岡琥希(こうき)も「落ちたと思いました。(捕ってくれて)うれしかったです」と感謝する。
「ピッチャーに楽に投げさせてあげたい。自分のできることを全力で」
矢野はその一心で、次戦も広い甲子園の芝生を走る。【深野麟之介】
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