セブン&アイHD、コンビニ事業に集中 ヨーカ堂など切り分け
セブン&アイ・ホールディングス(HD)は10日、イトーヨーカ堂など傘下のスーパー事業などを束ねる中間持ち株会社を設立し、主力のコンビニ事業と切り分ける方針を発表した。また、社名を2025年にもコンビニ事業を中核とした「セブン―イレブン・コーポレーション(仮)」に改称する。新社名は同年5月の株主総会で正式決定する。
新設する中間持ち株会社は「ヨーク・ホールディングス」。11日付で設立する予定で、ヨーカ堂のほか、スーパーの「ヨークベニマル」やベビー用品の「赤ちゃん本舗」、雑貨店の「ロフト」、外食の「デニーズ」を運営する会社など、コンビニ事業や金融サービス以外の子会社を移管する。今後海外ファンドなどの出資を募った上で、早期の新規株式公開(IPO)を目指す。ヨークHDの代表取締役会長にはヨーカ堂の創業家出身でセブン&アイ副社長の伊藤順朗氏(66)が就く。ヨーカ堂が展開しているネットスーパー事業は撤退する。
セブン&アイは24年4月、不振が続くヨーカ堂などのスーパー事業について、27年以降にIPOを行う計画だった。だが、その後カナダのコンビ二大手アリマンタシォン・クシュタールから8月までに買収提案を受けたことで、企業価値を早期に高めて対抗する考えに転換した。さらに社名を変更することでコンビニ事業に集中する経営戦略を明確にする。
10日にオンラインで開いた説明会で井阪隆一社長は「買収などでご心配をおかけしている。とりわけ環境変化への対応が遅れ、業績面でご迷惑をおかけした。スピードを上げて施策を実行し、業績の向上、企業価値、株主価値の向上にまい進していく」と述べた。
セブン&アイが同時に発表した24年8月中間連結決算は、最終(当期)利益が前期比34・9%減の522億円だった。海外コンビニ事業の不振に加え、消費の回復に一服感が広がる国内コンビニの伸び悩みも続いている。25年2月期の最終利益見通しも、前期比27・4%減の1630億円と、従来予想の2930億円から下方修正し、一転して減益決算を見込んだ。【中島昭浩、道永竜命】
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