堀江由衣、2年ぶりライブツアー“ほっちゃん特製カレー”完成 「Love Destiny」ら…
ライブツアー「堀江由衣 LIVE TOUR 2024-2025 文学少女倶楽部III~The Walking YUI~」
【写真】まだ高校生でいける!可愛い…制服姿の堀江由衣
2024年7月リリースのアルバム『文学少女の歌集III-文学少女と夜明けのバス停-』発売後の今回のツアーは、2019年と2022年に開催されたライブツアーに続き、17歳の文学少女・ほっちゃん(堀江由衣)と彼女が所属する部活動・文学少女倶楽部が織り成す学校内での物語を軸にした、ストーリー仕立てのライブを展開。文学少女帯(バックバンド)と踊りっ娘倶楽部(ダンサー)が文学少女倶楽部メンバーとして出演する幕間映像と全24曲のパフォーマンスによって、エンターテイメント性の高い新たな“文学少女”の世界をステージで表現した。
ライブは、夏休み中の文学少女倶楽部の面々が合宿のため学校に集まるオープニング映像からスタート。なぜか全員がレモンを持参するというミラクルが発生するなか、映像内のほっちゃんがレモンを掲げると、同じようにレモンを手にした堀江がステージに登場し、最新アルバム『文学少女の歌集III』収録の「Love me Wonder」でライブ本編の幕を開ける。白い半袖シャツに紺のベストとロングスカートを合わせた学生風衣装で瑞々しい歌声を届ける堀江に、劇団ほりえ(堀江由衣のライブに参加するファンの呼称)の劇団員一同は大きな声援で応える。続いては前回・前々回のツアーでも披露された「光の海へ」。“文学少女倶楽部”シリーズには欠かせないナンバーだ。
最初のMCで堀江は「文学少女倶楽部の夏合宿にようこそー!」と挨拶。バンドメンバーとダンサーズの衣装も学生風、そしてステージも学校の校舎をイメージしたセットになっており、観客は文学少女倶楽部と共に学校での1日を過ごす仲間として迎え入れられる。ポップで華やかな人気曲「笑顔の連鎖」では劇団員による「一番好きだよ ほっちゃん!」といった見事なコールが会場に響き渡り、「Romantic Flight」ではステージ背面がスカイブルーや夕焼けのような色に切り替わっていくロマンチックな演出も。
堀江のライブではお馴染みの熊田先生が誤って謎の薬を飲んでしまう幕間映像を挿み、最新アルバムから「水色と8月」を披露。ステップに腰掛けながら切々とした歌声を届ける堀江の姿、ステージ背面に投影された空とみぞれ雲のような景色が、歌詞で描かれる情景やワードとマッチしながら青春の1ページを綴っていく。そこから一転、幕間映像で校内にやや不穏な雰囲気が漂うなか雨が降り始めると、アップテンポな「夏の約束」ではダンサーと動きを合わせてスタイリッシュな一面をアピール。演劇的な要素だけでなく、多彩な楽曲と洗練されたパフォーマンスも堀江のライブの見どころだ。
幕間映像はメンバーたちが、クーマーイーツにご飯の出前を頼む連絡、お風呂、布団の準備、飲み物の用意と役割りを分担して過ごすなか、ほっちゃんはクーマーイーツへの連絡組についていき、職員室で熊田先生秘蔵のハチミツをゲット。ここでストーリーが急転し、謎の薬によってクマゾンビになった熊田先生に襲われる事態に。とっさに投げたレモンが効いて事なきを得るも、校内にはゾンビ化した生徒たちが徘徊していることが発覚する。ここで本ツアーの副題「The Walking YUI」が海外ドラマ「ウォーキング・デッド」になぞらえたタイトルであることに気づかされる。
そしてライブは次のブロックへ。カジュアルな衣装に着替えた堀江とダンサーたちが、ダンサブルナンバー「Dance Meets Girls」をキュート&クールに披露すると、シティーポップ調のメロウなグルーヴを備えた「君とさよなら」では甘い中にもビターさが加わった絶妙なボーカルで観客を魅了する。そこからクーマーイーツが宅配してくれた食材でカレーを作るため校庭に集合する幕間映像を経て、ステージ上はかがり火が焚かれてキャンプファイヤー仕様に一変。バンドも楽器をアコースティックギターやウッドベースに持ち替えて、「小さじ一杯の勇気」をアコースティックアレンジで届ける。楽曲内のセリフパートもカレーの話に置き換えられ、最後は「新年だから、カレーにおもちとさっき見つけたハチミツも入れちゃおう!」と告げて“ほっちゃん特製カレー”が完成。続く「Good morning」もアコースティック編成で演奏され、ダンサーたちがカレーを食して団らんするなか、劇団員たちも共に歌って暖かな空気が作り上げられた。
その後のMCで「(利用している)銀行」や「お風呂のお湯の設定温度」といった堀江らしいユニークなテーマでコール&レスポンスを行うと、さらに会場の一体感を高めるべく、コーレス定番曲「スクランブル」へ。もちろん客席は大合唱。そして楽曲の途中で堀江がステージからいなくなったと思ったら、大歓声と共に2階席に登場!劇団員たちと至近距離で歌い合う、まるでキャンプファイヤーのように楽しい時間が過ぎていった。
だが、そんな時間も束の間、突然雷の音が鳴り響き、クマゾンビたちが遂にステージに襲来。クマゾンビ化した熊田先生の「ねぇ 聴こえてる?」というセリフと共に緊迫感に満ちたゴシックチューン「インモラリスト」の幕が開ける。KEEP OUTのテープが貼られた扉のセットを用いてクマゾンビとのチェイス劇を演じながら歌唱する演出は、まるでミュージカルを観劇しているような没入感と迫力だ。その後の幕間映像でクマゾンビ化の真相と朝になると薬の効果が切れることを知った文学少女倶楽部一同。ステージでは、白シャツにネクタイ、グレーのスカートという学生風衣装に着替えた堀江が「遠雷」「Love Destiny」と情熱的なナンバーを立て続けに歌い、風雲急を告げる状況を楽曲でも表現する。
メンバーと共に「朝まで逃げ切るぞ!」と決意を固めた幕間映像に続いてライブはラストブロックに突入。ステージにはボロボロの布が装飾されて物々しい雰囲気になるなか、堀江の衣装もダメージの入ったスカートにチェンジ。疾走感溢れる「True truly love」を歌いながら、ゾンビめがけてレモンを投げつけるように黄色いサインボールを客席に投げ入れると、続く「innocent note」では学校の屋上を模したステージ2Fに上がってフラッグを振りながら勇ましく歌い上げる。アップテンポなビートとシンセ音が緊急感を煽る「ヒカリ」ではゾンビに対抗するメンバーたちの姿がスクリーンに映し出されるなか、堀江とダンサーたちも水鉄砲を手にして凛々しくパフォーマンス。劇団員たちも手に汗を握りながら熱く盛り上がる。
そしてゾンビとの攻防戦は夜明けと共に終幕へ。スクリーンに朝日の映像が映し出され、日の光をイメージした照明に当たるとゾンビたちは退散し、その美しい景色の中で堀江は最新アルバムより「夜明けのバス停」を歌い始める。ステージ2Fには生徒役のエキストラたちが行き交って学校帰りのような情景が演出されるなか、壮大なサウンドに乗せて神々しい歌声を響かせる堀江。青春という時間のかけがえのなさを思わせるエモーショナルな一幕だ。そこからファンタジックな輝きに満ちた「Stand Up!」でエンディングに向けてさらなる高揚感を生み出すと、ラストはコールや盛り上がるポイントを満載したライブの鉄板曲「CHILDISH LOVE WORLD」。客席からは「フレー!フレー!ほっちゃん!」というこの日一番の大声援が巻き起こり、最後は全身全霊の「大好きー!」が会場いっぱいに響き渡るなかライブ本編は締め括られた。
文学少女倶楽部の面々が正気を取り戻した熊田先生に挨拶して無事に帰宅するエンディング映像がハッピーエンドを告げると、堀江が再びステージに登場して今回のツアーの内容を種明かし。実は本公演を除く3公演のエンディング映像では、熊田先生のクマゾンビ化が解けていないというバッドエンドだったのだが、ファイナルのみ幕間映像の中でほっちゃんがハチミツをゲットし、ゾンビ化した熊田先生を引き寄せたことでハッピーエンドになった模様。他にも前回のツアーで描かれたタイムリープの物語と連動する要素が盛り込まれるなど、謎解き好きの堀江らしいこだわりに劇団員たちも思わず感心していた。
その後のアンコールも盛りだくさんの内容に。まずは推しへの愛をテーマにしたカラフルなテクノポップ「まじめにムリ、すきっ」を推しうちわ風の小道具を用いながら披露し、難度の高いコール&レスポンスで劇団員たちの愛の深さを確かめると、最近のライブでは恒例となっている「堀ジャム」のコーナーでは「今回のライブで演奏した楽曲のお気に入りポイント」をテーマにバンドメンバー、ダンサーたちとトークセッション。和気あいあいとしたムードで笑いの絶えない会話を交わしながらも、堀江でさえ気づかなかった楽曲の意外なこだわりや魅力が浮き彫りになる企画だった。
ラストスパートは誰もが盛り上がれるアッパーなナンバーを3連発。まずはツアーの日替わり曲「YAHHO!!」でタオルを振りながらすべてを照らす太陽のような歌声と共に届け、客席も全力のコールで応えてホールに「ヤッホー!」というやまびこがこだまする。堀江が結成した声優ユニット・Aice5「Lady Go!」のセルフカバーでは、客席をステージ上手側と下手側に二分してコール合戦を呼びかける場面も。そして「大阪から4公演全部来てくださった方も、間が空いた人も、今日だけの方も、本当に皆さん来てくれてありがとうございました!」「悔いの残らないように最後まで盛り上がってください!」との言葉に続いて披露されたのは「Happy happy*rice shower」。彼女のライブはこの楽曲で締め括るのが恒例となっている。ダンサーたちも手にポンポンを持って華やかに盛り上げるなか、堀江はブーケを持ってステージを端から端まで行き交いながら歌唱。そのどこまでもピュアネスな歌声と劇団員たちのひと際大きなコールがライスシャワーのように降り注ぎ、会場中がハッピーな気持ちに包まれるなか、約3時間に渡るライブは大団円を迎えた。
ステージを降りる前「私は楽しい気持ちになってくれたらなと思って、一生懸命頑張ってライブをやってきたので、絡まれたり、お財布を落としたりしないよう、身の回りを確認してから帰っていただければと思います」と、冗談めかしつつも最後までファンへの気遣いを忘れない堀江。“文学少女”という自身の描きたい世界観を演出やストーリー含めこだわり抜いて表現しながらも、あくまでファンに楽しんで欲しい気持ちが前提にあるからこそ、彼女のライブはいつでも笑顔の連鎖が絶えないのだろう。やはり堀江由衣は最高のエンターテイナーであり、誰をも幸せにする存在であることを改めて実感できるツアーだった。
■セットリスト
幕間映像
M1:Love me Wonder
M2:光の海へ
M3:笑顔の連鎖
M4:Romantic Flight
幕間映像
M5:水色と8月
幕間映像
M6:夏の約束
幕間映像
M7:Dance Meets Girls
M8:君とさよなら
幕間映像
M9:小さじ一杯の勇気
M10:Good morning
M11:スクランブル
幕間映像
M12:インモラリスト
幕間映像
M13:遠雷
M14:Love Destiny
幕間映像
M15:True truly love
M16:innocent note
M17:ヒカリ
M18:夜明けのバス停
M19:Stand Up!
M20:CHILDISH LOVE WORLD
幕間映像
【ENCORE】
M21:まじめにムリ、すきっ
M22:YAHHO!!
M23:Lady Go! / Aice5
M24:Happy happy*rice shower
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