実父からの性被害を告発「家族を罪に問う」 MBSのドキュメンタリー3作品がギャラクシー賞…

2026/05/03 10:07 

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「家族を罪に問う~家庭内性被害の告白~」(C)MBS

 MBSテレビのドキュメンタリー3作品が、放送批評懇談会「第63回ギャラクシー賞」のテレビ部門・下期選考で奨励賞を受賞した。

【動画】娘を性的暴行した父親に実刑判決 被害受けた娘が会見

 3番組は『映像’25「家族を罪に問う~家庭内性被害の告白~』(2025年12月21日放送)と『ドキュメンタリー解放区「家族を罪に問う~家庭内性被害の告白~」』(2026年1月11日放送)、『映像’26「西成と中国~共生か排除か~」』(2026年3月15日放送)。

■「家族を罪に問う~家庭内性被害の告白~」
2025年10月、当時高校生の実の娘に性的暴行を加えたとして、富山県の元会社役員の父親に懲役8年の判決が言い渡された。きっかけは被害者本人の実名・顔出しでの告白だった。母親が不在の自宅で、中学2年の時に始まった被害。誰にも言えず、一人抱え続け、今もPTSDなどに苦しみ続けている。

おととし、現在の夫と共に、過去を断ち切るため「父を罪に問う」と決めたが、刑事告訴から判決に至るまでの道のりは、想像を超える苦難の連続だった。加害者である父親との面会、親族からの反発、捜査機関の取り調べによる追体験…。それでも「同じような被害に遭った人たちの"道しるべ"になりたい」と裁判にも出廷。卑劣な家庭内性虐待の実態を証言した。

その想いは全国に波及し、SNS宛にカミングアウトする声が相次いでいる。このうち大阪府に住む20代は、中学時代に実の伯父に性的虐待を受けた。後遺症に苦しみ、生活も立ち行かない状況だが、「自分も変わりたい」と刑事告訴に踏み切った。

「家族を訴える」とはどういうことなのか。裁判で実の父を問うた3年、そして訴えに至った姿から「家庭内での性的虐待」の理不尽さを考える。

【受賞コメント】
家庭内性被害という「見えない犯罪」を立証する困難さ。そして何より、自らの深い傷に向き合い、告白してくださった被害者の方々の勇気こそが、私たちを突き動かす原動力でした。取材に応じてくださった皆様に、心より深く感謝申し上げます。今後も、社会の死角に取り残され、かき消されがちな声に寄り添い、真実を伝えるドキュメンタリー制作に努めてまいります。(プロデューサー 和田浩)

性犯罪の中でも表面化しづらいと言われる“家庭内性暴力”。今回その実態に迫りましたが、描けたのはほんの一端です。取材を重ねるに連れ、決して珍しい事件ではなく、全国の家庭で起きている事件なのではないかと感じました。微かなSOSを送る子ども達が周りにいないか。観てくださった人が、少しでもそのような意識を持つきっかけになれば幸いです。(ディレクター 森亮介)

■「西成と中国~共生か排除か~」
大阪市西成区が大きく変わり始めている。西成の高齢化率は約40%と大阪市内で最も高く、空き家率は約25%に上る。地元の商店街もシャッターを閉じた空き店舗が目立つようになった。そこに中国人が経営するカラオケ居酒屋が増え、ここ数年は特区民泊が急増している。

カラオケ居酒屋の先駆者であり、西成を変えたと言われているのが、61歳の中国人実業家。「西成のドン」と呼ぶ人もいる。周辺の土地を次々と買って開発を進め、「怖くて汚い西成のイメージを変えたい」と衰退した西成を新たな姿に変えていった。大きな中華街をつくる構想も掲げている。

街が急速に変貌するなか、住み慣れた家から立ち退きを余儀なくされた地元の人たちもいる。周辺では昔ながらの古い家が次々と壊され、中国人らが経営する真新しい民泊に姿を変えた。

「西成は中国に染まっている」地元ではそんな声も聞こえる。西成はさまざまな文化や背景を持つ人々をこれまで受け入れてきた。共生か排除か―。中国人に揺れる街から日本の未来の姿を考える。

【受賞コメント】
土地を奪われる悲しみと、開発者のビジネス論理。そのはざまで何が見えるのか。描こうとしたのは、どちらが正しいかという単純な二元論ではありません。この分断を直視した先に、私たちはどのような未来を描けるのか。日本の縮図とも言える西成が突きつける問いから、この国の明日の姿を考えるきっかけになれば幸いです。(プロデューサー 和田浩)

西成では中国人をはじめ、多くの外国人が暮らし、働いています。いま最も危惧すべきは、無知ゆえの偏見がもたらす「分断」です。この街で生きる人々の背景や想いをドキュメンタリーで伝え、恐れを理解へと変えていくことこそがメディアの果たすべき役割だと信じています。これからも西成で取材を続けていきます。(ディレクター 吉川元基)


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