夜ドラ『ラジオスター』最終週見どころ 渋川清が語る「少しでも多くの方に能登を知ってもらえた…
夜ドラ『ラジオスター』より(C)NHK

【場面カット】いよいよ最終週へ…夜ドラ『ラジオスター』
同作は、地震で被害を受けた石川・能登を舞台に、大阪からボランティアでやって来た主人公・柊カナデ(福地)が臨時災害放送局(災害FM)のラジオでパーソナリティーとして奮闘する姿を描く。名もなき市民がスターになっていく、ノンストップエンターテインメントドラマ。全32回/8週。
■役柄・西川誠(にしかわ・まこと)
町の消防士。優しく正義感にあふれ、周りからの信頼もあつい。地震や豪雨による災害のときには、一人でも多くの人を助けようと奔走した。おしゃべりが得意というわけではないが、松本の思いに共感しラジオに参加する。
■渋川清彦コメント
――渋川さんが演じる正義感にあふれた消防士・西川誠は、発災後の救助に奔走しながら、その時の体験から心に傷を抱えてしまいます。どのように役作りをされましたか?
西川の役作りは難しかったです。人物設定には「正義感が強い」と書いてはあるけど、どういうふうに演じようかなと……。役者は、何事も実際に経験することはできない。だから、話を聞くしかないと思いました。このドラマは能登の皆さんに取材したことをベースに作られています。西川という人物を造形するうえで、輪島市町野町の消防士の方とお会いしてお話ししました。西川はフィクションのドラマの中の人物ですが、お話をうかがったのは実際に「助けたかったけれど、助けられなかった人がいた」という体験をされた方でした。その方が歩んできた日々は想像を絶するものだし、自分も今ここで、うまく言葉にはできないです。西川は本当に難しい役どころでしたが、話を聞いた消防士さんのことを思いながら、少しでもその思いが画面に映っていればいいなと願って演じました。
能登ロケでも、町野の消防士の方々に撮影にご協力いただきました。撮影中、本当に緊急無線が入って現場が騒然としたことがあったんです。そのとき、一瞬でガラッと変わった空気と、消防士さんたちの「目」。皆さんの冷静で機敏な対応が忘れられません。そうして町野の消防士さんたちから教わったことを胸に撮影に臨んだので、自分は現場で「西川」でいる間、椅子の背もたれに背中を預けることがありませんでした。
――第7週では、地震のときに西川がさくら(常盤貴子)を救助した人物であったことが明かされました。シーンを振り返っていかがでしょうか。
被災地の資料映像にも目を通したうえで臨みましたが、あのシーンについては、あらかじめ芝居のプランを頭の中で作り込むというよりも、その瞬間に立ち上がってくる感覚を大切にして演じました。目の前にセットがあって、さくらさんがいて、その状況の中で自然と湧き上がった感情に身をゆだねた、という感覚です。正直、現実で同じ状況に直面したときに自分がどう行動できるのかは、想像もできません。ただ、こうした極限の状況が実際にあったのだと思いながら演じていました。
――能登の撮影期間で印象に残ったことを教えてください。
能登ことばがなかなか難しくて、ロケの間は少しでも地元の方々と会話して「音を入れる」ということを意識していました。やっとなじんできて、少しは様さま
になったかな?と思ったところでクランクアップしてしまいましたが(笑)。
輪島に滞在中、よく通っていた食事どころがあります。そのお店で出される料理に、伝統工芸品の輪島塗の器が使われていて、すっかり魅了されてしまいました。輪島塗を実際に触ってみると、その美しさと軽さ、手になじむ使い心地に心を奪われます。けっこうな高級品なのに、能登の皆さんはこの器を毎日の食事を入れる器として「日常使い」しているんですよね。私も飯わんと汁わんを能登で買い求めて、皆さんにならって「日常使い」しています。毎日の食卓がじつに豊かになりました。
―― 「ラジオスター」のメンバーとの共演シーンや、撮影の合間の時間はいかがですか?
カナデ役の福地さんがすごくナチュラルにラジオシーンを演じているのが魅力的でした。私は西川として、セリフとセリフの合間に言葉を発することがあまりできなかったなと思い返しているのですが、福地さんはその点でもすごく自然で。とてもいいなと思って見ていました。
松本を演じる甲本さんとは、ここまでしっかり絡むのは今回が初めてでした。実は、自分のドラマデビュー作となった刑事ドラマで共演していて、そのときのことを甲本さんも覚えていたんです。甲本さんはカメラが回っていない間もずっとしゃべっていておもしろいですね(笑)。松本の役どころそのままで、それを私はじっと見ている。わりとドラマの中の「功介さん」「誠さん」の関係に近いです。
――最終週の見どころと、視聴者の皆さんへのメッセージをお願いします。
「ラジオスター」のみんながそれぞれどこに向かっていくのか、見守っていただけたらと思います。本作はフィクションのドラマとしてエンターテインメント性豊かでありながら、取材したことを参考にしているので、とてもリアリティーのある作品になっていると感じました。地震の発生から2年半がたとうとしていますが、報道の数も減って、少しずつ風化していくことへの懸念もあります。そんな中、「能登の今」がドラマとして残ることに、大きな意味があると思っています。能登の皆さんが協力してくださってできたドラマです。このドラマをきっかけに、少しでも多くの方に能登を知ってもらえたらうれしいです。
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