米機密が流出か イスラエルのイラン報復計画巡る資料 米報道
米ニュースサイト「アクシオス」は19日、イランの弾道ミサイル攻撃(1日)に対するイスラエルの報復計画を巡り、米政府の機密資料が、通信アプリ「テレグラム」上に流出した可能性があると報じた。資料が本物かどうかは確認されていないが、米CNNによると、米当局は深い懸念を示しており、捜査を進めているという。
報道によると、流出した可能性がある資料は2組で15日と16日付。国防総省の国家地理空間情報局による報告が含まれる。イスラエル軍による弾薬の移動や演習の詳細など、イランへの攻撃に向けて進めている準備の内容が記載されている。
また、イスラエルは公式には核兵器の保有を認めていないが、資料には「イスラエルがイランに対して核兵器の使用を計画している兆候はみられない」との趣旨の記載もあった。
アクシオスは文書の流出は「イスラエルの作戦を妨害するための可能性がある」と指摘した。
資料には米国の3段階ある機密区分で最上位にあたる「トップシークレット(最高機密)」との記載があるほか、米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国(通称ファイブアイズ)の情報機関だけが閲覧できるマークも記されていた。
米政府当局者はアクシオスに対し「資料の流出がイスラエルの作戦に影響を与えるとは思わない」と説明。一方、イスラエル政府当局者は「非常に深刻に受け止めている」としており、イスラエルが反発する可能性もある。
資料はテレグラムの親イランの「ミドル・イースト・スペクテーター」というチャンネルで公開された。資料が本物であれば、米情報機関がイスラエルの動きを詳細に監視していることを示唆しているが、米紙ニューヨーク・タイムズは「米政府の新たな(諜報(ちょうほう))能力を明らかにするものではなさそうだ」と指摘。その上で、これ以上の文書の流出がなければ被害は限定的だという見方と、同盟国の計画が暴露されるのは重大な問題だという二つの意見があるとした。
文書の流出の経緯は現時点では不明。ただ米政府の機密情報を巡っては、昨年4月にも東部マサチューセッツ州の空軍州兵が、国家防衛に関する機密を承認なく外部に持ち出した疑いで逮捕され、その後起訴されている。【ワシントン松井聡】
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