移民、経済…「第2次トランプ政権」内政いかに? 注目はマスク氏
米大統領選で6日、共和党のドナルド・トランプ前大統領の当選が確実となった。来年1月に発足する「第2次トランプ政権」では、幅広い領域で政策の大幅な転換が想定される。移民や経済、環境問題など内政での注目点をまとめた。
選挙戦で大きな争点の一つは国境問題だった。米国内には約1100万人の不法移民が滞在しているとされ、トランプ氏は、バイデン政権下における不法移民の流入によって治安が悪化したと主張してきた。
「就任初日」に大統領令を発し、メキシコ国境を封鎖して不法移民を数百万人規模で強制送還すると言明。2017~21年の「第1次」政権時よりも強硬な移民政策を訴えている。
米国では政権交代時、議会の承認の必要がない大統領令を発して政策の見直しに動くことは珍しくない。トランプ氏は選挙戦のさなかに受けた保守系メディアのインタビューで「独裁者にはならない。ただし(就任)初日を除いて」と含みを持たせ、バイデン政権の政策を広く「無効化」する野心を隠していない。
経済分野では、減税と規制緩和で成長の押し上げを目指す。注目されるのは選挙戦を強力に後押しした実業家イーロン・マスク氏の役割だ。個人の自由を最大化し、政府による規制を極力減らす社会モデルを志向するマスク氏は、トランプ氏を支援する理由として規制緩和の推進を公言してきた。
トランプ氏は、政府機関の支出を見直す効率化のための組織を新設し、マスク氏をトップに据える構想を掲げている。米メディアは、連邦航空局(FAA)と環境保護局(EPA)が標的になる可能性があると伝える。FAAに対しては、宇宙開発企業スペースXを率いるマスク氏はかねて「過度な」規制を批判してきた。スペースXは連邦政府と巨額契約を結んでおり、利益相反も課題となりそうだ。
トランプ氏はバイデン政権が重視してきた環境規制も骨抜きにし、石油やガスといった化石燃料の増産を図る意向だ。米ワシントン・ポストによれば、トランプ氏が「第1次」政権時に撤廃や見直しを指示した環境関連の規制は70以上に及ぶ。
選挙戦終盤で撤退してトランプ氏への支持を表明した弁護士のロバート・ケネディ・ジュニア氏の処遇は、予測不能な変化をもたらす可能性がある。反ワクチン派として知られるケネディ氏は、トランプ氏から公衆衛生分野の連邦機関を統制する役割を「約束された」と主張する。トランプ氏は起用を明言していないが、医療界には特定のワクチン禁止などの動きにつながらないか懸念が広がる。【ワシントン八田浩輔】
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