米政府、トランプ政権発足前に対露追加制裁 LNG輸出決済銀行を指定

2024/11/22 04:43 

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 バイデン米政権は21日、ウクライナに侵攻するロシアへの追加経済制裁を発表した。液化天然ガス(LNG)輸出の決済を担うロシア3位の大手銀行「ガスプロムバンク」を制裁対象に加え、米金融機関との取引を禁じる。トランプ次期政権が発足する前に、ロシア経済に打撃を与える狙いとみられる。

 ルクセンブルクや香港、南アフリカなど海外に拠点を置くガスプロムバンク子会社の6金融機関も制裁対象に指定する。

 ガスプロムバンクは、ロシア国営の大手天然ガス会社「ガスプロム」傘下の銀行で、LNG輸出の際の決済を担う。ロシア軍兵士への給与支払いなどにも使われている。

 日本もロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」でLNGを調達しているが、この取引の決済は今後も例外扱いで認められるという。

 バイデン政権は、ロシア最大のズベルバンクなどの大手金融機関を制裁対象に指定済み。ただ、ガスプロムバンクを指定すれば、欧州や日本のLNG調達に支障が出る可能性があり制裁を見送っていた。

 だが、来年1月にはウクライナでの即時停戦を訴えるトランプ政権が発足する。ガスプロムバンクはLNG輸出の決済に加え、ズベルバンクなどに代わるロシアの国際金融取引の「抜け穴」になっており、バイデン政権で制裁指定しておく必要があると判断した。

 イエレン財務長官は声明で「ロシアが違法な戦争支援のために利用するあらゆる金融ルートに断固とした措置をとる」と述べた。

 ロシアによるウクライナ侵攻後、欧州各国は米国などからのLNG輸入を増やしたが、現在も一定割合をロシアから購入しており、影響を受ける可能性がある。【ワシントン大久保渉】

毎日新聞

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