イスラエルとレバノンが一時停戦に合意 バイデン米大統領が発表

2024/11/27 10:22 

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 イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘を巡り、米国のバイデン大統領は26日、イスラエル政府とレバノン政府が60日間の一時停戦に合意したと明らかにした。停戦は現地時間の27日午前4時(日本時間午前11時)に発効すると定められた。停戦合意は、昨年10月に両者の交戦が始まって以来初めて。本格的な停戦や情勢安定化につながるかが焦点となる。

 ヒズボラはイランの支援を受け、パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスに連帯を示す。イスラエルとヒズボラは、ハマスがイスラエルを越境攻撃した昨年10月から、連動する形で交戦。イスラエル軍は今年9月、レバノン南部への地上侵攻も開始した。米国は停戦へ向けた交渉を仲介してきた。

 これまでに、レバノンでは3800人以上が死亡し、100万人超の住民が自国北部や隣国シリアへの避難を強いられている。イスラエル側は100人以上が死亡した。イスラエル北部では6万人以上の住民が避難を余儀なくされた。

 バイデン氏によると、今後60日間で、イスラエル軍はレバノンから部隊を撤収させる一方、レバノン南部ではヒズボラに施設などの再建を認めない。米ニュースサイト「アクシオス」の報道では、今回の合意に基づき、ヒズボラはイスラエルとの国境から約30キロ北にあるリタニ川以北に撤退し、重火器も移動させる。その間、レバノン軍が米国主導の停戦監視委員会とともに合意の順守を監視する。

 バイデン氏は、この合意に関して「恒久的な敵対行為の停止を意図したものだ」と強調し、ヒズボラが合意を破った場合、「イスラエルには国際法に沿った自衛権がある」と説明した。

 イスラエル政府は26日の治安閣議で停戦案を承認した。ネタニヤフ首相は一時停戦の狙いについて、イランへの対応に「注力」し、ガザ地区のハマスを孤立させるためだと主張。レバノンと接するイスラエル北部に「住民を安全に帰還させる」とも述べた。

 米政府は停戦に向けて、イスラエル側や、ヒズボラの窓口役を務めるレバノンのベリ国民議会(国会)議長と協議を続けてきた。ヒズボラの直接の反応はないが、レバノンのミカティ暫定首相は26日、停戦合意を歓迎する声明を出した。

 アクシオスの報道によると、今回の合意では、ヒズボラのロケット攻撃などレバノン南部からの脅威に対して、イスラエルは自由に軍事行動ができる約束だという。一方、リタニ川以北でのヒズボラによる軍事インフラ建設など緊急性が低い事案に関しては、イスラエルは米国と協議し、レバノン軍が対応しない場合のみ、軍事行動を取れるという。

 イスラエル政府は今年9月、ヒズボラに対する攻勢を強化していた。戦闘員らが保有するポケットベルや無線機を爆発させ、9月末からヒズボラが拠点とするレバノン南部への地上侵攻を開始。激しい空爆も続けてきた。

 ヒズボラは1982年、イランの指導で設立され、イスラエルとの闘争を続けてきた。2006年にはイスラエル兵を拉致し、地上侵攻してきたイスラエル軍と約1カ月間にわたり交戦した。

 この際に採択された国連安全保障理事会の決議は、イスラエル軍の撤退とともに、ヒズボラには武装解除を求めた。国連レバノン暫定軍(UNIFIL)やレバノン軍が停戦監視を行うとされたが、レバノン南部では政府の影響力は限られ、ヒズボラは武装解除には応じていなかった。【エルサレム松岡大地、ワシントン松井聡、リヤド金子淳】

毎日新聞

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