ふるさと納税、赤字から1.7倍へ 千葉・市原市の起死回生策とは
ふるさと納税の税収増を目指そうと、千葉県市原市が今年度設置したプロジェクトチーム(PT)が成果を上げ始めた。寄付額増と新規返礼品の開発を進める「ふるさと納税強化PT」で、25日に同市役所で成果が発表された。寄付額は今年度の推計値で最大約17億円と昨年度の約1・7倍となりそうだ。小出譲治市長は来年度、PTから格上げして専門部署を設置する方向で検討に入った。
市によると、ふるさと納税の寄付額は2019年度が3億3000万円だったが、年々伸びて昨年度は10億2000万円となった。だが、市民が他の自治体に寄付する金額も昨年は6億6000万円に上り、返礼品代や送料などの経費を差し引くと1億3000万円の赤字となった。
このため、市は今年度、庁内横断で12課室の15人によるPTを4月に発足させ、寄付額13億円を目標にした。
初の試みとして、2人の民間人アドバイザーにも参画してもらった。アドバイザーは他の仕事を持つ「複業人材」を公募し、いずれもコンサルタント会社を経営する、河野真伍さん(寄付額向上アドバイザー)と大後裕子さん(新規返礼品開発アドバイザー)に無償で就いてもらった。
PTは11月まで週1回、オンラインとミーティングで約2時間実施してきた。話し合った内容を基にプロモーションを実施し、広報誌や市ウェブサイトなどを使ったり、金融機関などと連携したりして事業者に制度を周知した。
また、返礼品のポータルサイトのデザインを一新。ユーザーが検索したキーワードとマッチした商品を掲示する検索連動型広告を取り入れたり、メールマガジンを配信したりした。さらに、ふるさと納税を勧めるポータルサイトにも入った。
新規返礼品の開拓では、人気のゴルフボールをカラー化するなど、これまでにあった返礼品の内容や数量などのバリエーションを増やした。また、地元のラーメンやチョークアート体験など、新たな返礼品事業者を開拓した。
その結果、今年度の寄付額は目標の13億円を超え、14億~17億円となる見通しとなった。返礼品の品目数も今年4月1日段階で317件だったが、9月30日現在で731件と2・3倍に増え、新たに15事業者が参加した。
今後はゴルフと宿泊を兼ねた「旅行・体験型」の返礼品などを検討していくという。また、2人のアドバイザーは、市単独ではなく、企業・事業者との連携を進めることや専門部署の設置を提案しており、小出氏は「(市職員が)『予算を使う』から、『自分たちで稼ぐ』という認識になったことが良かった」と評価した。
【浅見茂晴】
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