JR九州社長、役員報酬の一部返納 日韓高速船の浸水隠しで
JR九州の子会社「JR九州高速船」が日韓を結ぶ高速船「クイーンビートル(QB)」の浸水を隠して運航し続けた問題で、JR九州は26日、責任を明確化するとして、古宮洋二社長が役員報酬の3割を2カ月間自主返納すると発表した。子会社で隠蔽(いんぺい)に関与した取締役3人は同日付で解任し、懲戒解雇とした。
JR九州では他に担当役員の松下琢磨常務執行役員も役員報酬の1割を2カ月間自主返納する。JR九州高速船では、社長を8月に解任された田中渉前社長、安全統括管理者だった小川仁氏、運航管理者だった柴田康祐氏の3人を懲戒解雇にした他、問題に関わった社員を処分した。
古宮社長は26日の記者会見で「二度とこのようなことを発生させないよう浸透させ、安全への信頼を取り戻したい」と述べ、「この度は申し訳ありませんでした」と深々と頭を下げた。JR九州高速船に生じた損害については、解雇した3人に損害賠償を請求することを検討しているという。
浸水隠しは8月の国土交通省による監査で発覚。国交省は9月、安全統括管理者らの解任を求める初の命令を出した。JR九州が設置した第三者委員会は11月21日に調査報告書を同社に提出し、JR九州高速船の田中前社長ら幹部が運航停止を避けるために浸水を隠蔽し、2月から3カ月以上にわたって運航を続けたと認定した。
JR九州は報告書の指摘を踏まえ、JR九州高速船への監督を強化する他、社員が内部通報をしやすいように社外に窓口を設けるなど新たな再発防止策も策定したという。
この問題を巡っては、福岡海上保安部が船舶安全法違反(臨時検査不受検航行)などの容疑で捜査を続けている。【下原知広、栗栖由喜】
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