ミャンマー内戦で初の人口減少か 軍政調査、24年5132万人

2024/12/31 19:18 

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 ミャンマーの軍事政権は12月31日、国勢調査の暫定結果を公表し、2024年の人口は約5132万人で、統計では初めて減少に転じたと明らかにした。前回、国勢調査を実施した14年は約5150万人と発表されていた。軍政は25年中に総選挙を実施するため、有権者名簿の作成に必要な国勢調査を強行した。

 ただし、今回発表された人口のうち実際に調査できたのは3219万人ほどで、残りは「算出が不可能な地域で、リモートセンシング技術を使った推定人口」と説明した。国軍に抵抗する民主派や少数民族武装勢力の反撃が強まり、国軍の支配地域が狭まる中で、当初から全国的な調査は難しいとみられていた。

 結果を公表することで、選挙実施を正当化する狙いがあるとみられる。国境を接するタイや中国、インドなどは長引く情勢不安を問題視し、中国は早期の選挙を求めている。

 調査は24年10月1~15日に行われ、一部地域では情勢不安や交通事情を理由に12月まで延長し、調査できない地域もあったとしている。公表されたのは、州ごとや男女別の人口、人口密度、世帯数など。英国の植民地下で最初の調査が行われた1872年以降、初めて人口が減少に転じたという。

 21年2月のクーデターから続く内戦の影響で避難民が増えたことが人口減少につながっているとみられる。国軍が24年に入って導入した徴兵制を逃れるために、若者らが国外に転出。隣国に避難する住民も増えた。バングラデシュと接する西部ラカイン州では12月に入り、少数民族武装勢力が国軍管区司令部を制圧したと主張。国連は最近の情勢悪化により、ラカイン州などで推計36万人が家を追われたとしている。【バンコク武内彩】

毎日新聞

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