韓国機オーバーラン地点近くに「コンクリ壁」 英米専門家から批判

2024/12/31 19:32 

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 韓国南西部の務安(ムアン)国際空港で179人が死亡した旅客機事故で、英空軍の元パイロットで航空評論家のデービッド・リアマウント氏は、機体が最終的に激突した「コンクリート壁」の存在を問題視し、「壁がそこにある必要はなかった」と述べた。英スカイニューズ・テレビのインタビューに答えた。

 機体は胴体着陸後に減速せず、滑走路外の壁に激突し、炎上した。事故原因については、エンジンが鳥を吸い込む「バードストライク」が指摘されている。

 だがリアマウント氏は、「機体が地上に着陸した時点で、人々が生き残るチャンスはあった」と分析した。壁がなければ、そのまま隣接する畑まで進んで止まっていた可能性を指摘し、「(機体が)減速して停止するスペースは十分にあった」と述べた。

 その上で、オーバーランした地点から数百メートル以内に「硬い物体」が設置されている空港の構造は「犯罪的ですらある」と批判した。

 空港周辺はブロック塀で囲われ、手前にはさらに、壁のようなコンクリート製の構造物があった。事故機はこれに衝突し、被害が拡大したとみられる。

 聯合ニュースによると、コンクリート製の構造物は高さ約2メートル。この上に、航空機に電波を発射して誘導する「ローカライザーアンテナ」が立っていた。韓国国土交通省は、ローカライザーがある空港南側と、北側の土地に高低差があったため、高さを合わせたと説明している。設置時期は不明だが「滑走路の安全区域外にあり、規定違反ではない」(同省)という。

 しかし、米国に拠点を置く非営利団体「航空安全財団」のハッサン・シャヒディ会長は米ワシントン・ポスト紙に対し、「滑走路付近の構造物は、衝突時に壊れやすい構造でなければならない」と指摘。ほかの専門家からも、コンクリート製の構造物の設置や空港のレイアウトに疑問の声が出ている。【ロンドン篠田航一、ソウル日下部元美】

毎日新聞

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