停戦条件を双方が提示か ウクライナとロシアの協議は1時間15分

2025/06/02 22:54 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 ロシアのウクライナ侵攻を巡る両国の今年2回目の直接協議が2日、トルコ・イスタンブールで開かれた。停戦条件をまとめた双方の文書案が提示されたとみられ、協議は開始から1時間15分ほどで終了した。

 ウクライナ側は5月下旬に露側に文書案を提示していた。ロイター通信によると、最初に「少なくとも30日間の完全停戦」を実施し、その後、双方ともに全ての捕虜を返還することや露占領地に連れて行かれたウクライナの子どもたちの帰還、両国首脳による会談の実施を求める内容が盛り込まれた。また、米紙ニューヨーク・タイムズによると、陸海空での一時停戦と友好国による停戦監視の規定も含まれているという。

 一方、露側は文書案の事前の提示について「非建設的だ」(ペスコフ大統領報道官)として、6月1日までにウクライナ側に示さなかった。ラブロフ外相は5月28日、紛争解決の基本条件は「ウクライナの中立、非同盟、非核の地位を維持することだ」と強調した。

 ただ双方とも和平の「調停役」を自任するトランプ米大統領の反感を買うことは避けたい考えで、協議を通じて停戦への姿勢をアピールし、トランプ氏を自陣に引き寄せる狙いがある。トランプ氏は、停戦に消極的なロシアに不満を募らせており、5月28日にはプーチン氏の停戦の意思を「2週間以内に見極める」と発言。今回の協議が判断材料となる可能性もある。

 今回の協議を巡っては、事前に文書案を提示しない露側に対してウクライナ側が反発。ウクライナのゼレンスキー大統領は「ロシアは協議が成果を生まないようにあらゆる手をつくしている」などと批判していた。ラブロフ氏は5月28日に、6月2日の協議再開を提案する声明を発表したが、ウクライナ側は1日まで協議参加の意思を明らかにしなかった。

 今回の協議では、5月16日に開かれた前回と同様、露側はメジンスキー大統領補佐官、ウクライナ側はウメロフ国防相が双方の代表団を率いた。前回協議では、ロシアとウクライナが1000人ずつの捕虜交換を行うことで合意し、実現した。ただ、この協議ではほかに進展はなく、双方が停戦の条件を示した上で交渉を継続することで合意していた。【モスクワ山衛守剛、ベルリン五十嵐朋子】

毎日新聞

国際

国際一覧>