泉房穂氏の動向に関係者やきもき 立憲は「一番弟子」擁立 兵庫9区

2024/10/13 10:30 

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 裏金問題で自民党の公認を得られず無所属での衆院選を余儀なくされる前職が、立憲民主党新人の挑戦を受ける兵庫9区。前兵庫県明石市長でメディアの露出も多い泉房穂(ふさほ)氏(61)の動向に注目が集まっている。X(ツイッター)で60万人超のフォロワーを誇る泉氏の一挙手一投足が票に関わるともされ、関係者らはやきもきしている。

 泉氏は「五つの無料化」を柱とする子育て支援策を打ち出して明石の名を全国区に押し上げ、市民人気は今なお高い。現在テレビのコメンテーターも務め、特に自公政権への厳しい批評でお茶の間での知名度も上昇している。

 今回、前職の西村康稔元経済産業相(61)に立憲は橋本慧悟(けいご)県議(35)をぶつけてきた。橋本氏は2023年の県議選で泉氏率いる政治団体から出馬した。2位のほぼ倍となる3万2000票余を集めて初当選した泉氏の「一番弟子」ともいえる存在だが、議員としての活動歴は1年半。淡路島の3市を含む選挙区内での知名度アップが今後の課題だ。

 立憲県連の井坂信彦代表(50)は、9月の擁立記者会見で泉氏の名前を挙げ「太鼓判を押すと言われた。表に出てしっかり応援していただけると思っている」。橋本氏自身も「尊敬できる方。応援いただきたい」と、弁士を務めることに期待を込める。対する西村氏は10日の会見で、東京大の後輩でもある泉氏の存在を問われ「あまり意識はしていない」と意に介さない風に語る。ただ、個々で支える自民市議は「マイクを握ったら(聴衆を)大勢集めることができる」と警戒を隠さない。

 橋本氏陣営にとっては泉氏への注目はメリットだけではない。市長時代、市幹部への暴言が表面化して辞職に追い込まれた経歴があり、支援する労組幹部は「市議会とも対立していた。応援に入ってもらう議員や、組合員の中には抵抗を感じる人もいる」と票離れも懸念する。

 当の本人はXに「今回の総選挙で特定政党や特定候補の応援に入る予定はない。ご理解のほど」と投稿(4日)し、全ての応援依頼を断っていることを明言している。だが陣営の市議は「泉さんの頭の中は我々でも分からない。『弟子』を1人街頭に立たせてもいいのかという意見もある」と話す。

 同選挙区には他に日本維新の会新人で元国土交通省室長、加古貴一郎氏(61)、共産新人で党地区常任委員、高田良信氏(78)も立候補を予定している。【入江直樹】

毎日新聞

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