「解党的出直しを」 石破首相退陣表明、自民大阪府連の反応さまざま

2025/09/07 21:46 

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 自民党内の交代圧力に追い詰められ、総裁選を前倒しするか否かが決まる前日に退陣を表明した石破茂首相(自民党総裁)。過去の総裁選で地方票を多く獲得した人気は陰り、7日までに10県連が臨時総裁選を求めないと決めた一方で、26都道府県連が前倒し要求を決定。「現体制では戦えない」「解党的出直しが必要」など執行部への批判が続出した。

 小野寺五典政調会長は地元・宮城県連の会議で前倒しを求めるか協議していた7日午後3時半ごろ、知らせを受けて急きょ中座。報道陣に「これまでさまざまな声を石破総裁は聞いてこられた」と話すと、そのまま東京へ向かった。

 会議を取り仕切った県連の守屋守武総務会長は終了後、「非常にやりづらい会議だった」とこぼした。県連では投票が有効になると党本部に確認した上で、前倒しを求めると決めたが「辞意を表明したのに追い打ちのように(要請を)出すのはいかがかという意見もあった」と明かした。

 大阪府連は6日、所属議員らの圧倒的多数で総裁選前倒しに「賛成」と決めたばかりだった。

 7月の参院選大阪選挙区(改選数4)では、自民公認候補が27年ぶりに落選。直後に、青山繁晴府連会長(当時)が石破氏の退陣を公然と迫った。過去2回の衆院選でも、府内で公認候補を擁立した選挙区で日本維新の会に全敗している。

 自民府連の松川るい会長代行は7日、毎日新聞の取材に「辞任を決めたのはご英断だ。日米関税交渉も区切りがついたタイミングで、党の分断を避けることができた。国民に信頼に足る党と思ってもらうためにも、党再生につながる総裁選にしないといけない」と語った。

 別の府連関係者は「石破首相がここまで粘るとは思わなかった。最後に衆院解散をちらつかせたのが最悪だった。8日の(総裁選前倒しの)意向確認を回避したとはいえ、党内では大半の議員が踏み絵を踏まされたようなものだ」と憤る。「新総裁のもとで、本当の意味で『解党的出直し』に取り組むしかない」と決意を込めた。

 一方、石破氏が会長を務める鳥取県連の斉木正一幹事長は7日、取材に「突然の辞任表明にはびっくりした」と驚きを隠せない様子だった。県連は5日、総裁選の前倒しを要求しないと決定。斉木幹事長は「これ以上、党を混乱させれば内閣も混乱し、国民生活に影響が及ぶと判断したのだろう。残念だが本人の決断であり、やむをえない」と受け止めた。

 地方創生や防災強化など石破氏が掲げた主要政策は道半ばとなる。総裁就任からわずか1年での退陣表明に「石破カラーを出すには時間が足りなかったし、少数与党という厳しい状況だった。野党の主張にも耳を傾けなければならず、気苦労も多かったはずだ。国民のためによく頑張った、ご苦労さまでしたと言いたい」とねぎらった。【山中宏之、長沼辰哉、渕脇直樹】

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