創業100年超のしょうゆ店にメタルバンド集結 3代目の狙いと思い

2024/10/03 14:00 

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 創業100年を超える島根県安来市の「矢田醬油店」で、異色の音楽イベントが開催された。しょうゆ店の倉庫に強いビートで激しく演奏するメタルバンドが集結。会場は音響や雰囲気作りにこだわるなどライブハウスと錯覚するほど本格的な仕上がりで、老舗しょうゆ屋が見せた「メタル愛」が、メタルファンらを熱くさせる一日になった。【松原隼斗】

 元々メタル風のオリジナルTシャツを販売するなどいっぷう変わった取り組みで「メタルおしょうゆ屋さん」として有名だった矢田醬油店。9月中旬に開催されたイベントは、普段はしょうゆの原料となる大豆などを置く倉庫を活用した。約44平方メートルの空間にアンプなどの機材を持ち込んだ。

 イベント名はしょうゆにあやかって「Soy Deathfest(ソイデスフェスト)」。店でライブイベントを開くのは初の試みだったが、音響もこだわり、ライブハウスと遜色ないほどの環境を整えた。同店3代目で大のメタルファンでもある矢田大典さん(34)は「最高の環境でバンドに演奏してもらおうと準備した」と胸を張った。

 東京都から4バンド、島根県出雲市から1バンドが参加した。観客は福岡県など市内外から100人が来場。激しいバンドの演奏に、観客は頭を振るなどしてリズムに乗って楽しんだ。福岡県大野城市から家族とともに訪れた30代の男性は「音圧で殴ってくるような感じが気持ちよかったし、どんな人でも入っていいというフランクな空気が楽しかった」と興奮気味に語った。

 参加したアーティストも演奏後に充実感を語った。東京で活動するバンドでリーダーを務める稲原友典さん(34)は「音が良くて快適に演奏できた。しょうゆ屋でライブと最初に聞いた時は驚いたが、町おこしのイベントに協力できたことはよかった。良い経験になりました」と話していた。

 今回のイベント開催にあたり、同店には「安来の知名度を上げ、街の活性化につなげたい」との思いがあった。矢田さんは「音がかなり出るが近隣の方にご協力いただいた。メタル好きはもちろん、そうでない人もたくさん来てくれた。町の刺激になり、町おこしにつながったと思う」と語った。

毎日新聞

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