社員の12人に1人が「いつも孤独」 新年度に注意 東京大など調査

2025/04/07 05:30 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 入社や異動など環境の変化が多い新年度、新たな場所で孤独を感じていませんか――。東京大などが調査した結果によると、企業に勤める従業員の約1割がほぼ常に孤独を感じているという。メンタル不調になりがちな4月を乗り切るコツを専門家に聞いた。

 東京大と北里大は2024年10月、国内企業に勤務する従業員約2万4000人を対象に孤独感を調査した。孤独を感じる頻度を「ほとんどいつもあった」「ほとんどなかった」など4択で尋ねると、8・3%に当たる約1980人が「ほとんどいつもあった」と回答。12人に1人がほぼ常に孤独を感じている実態が明らかになった。

 孤独を感じている人の特徴を性別や年齢、業種などの属性で調べると、女性より男性が多く、若い世代より仕事中心の生活になりがちな30~40代の割合が高かった。業種別では、人との関わりが多いサービス業に比べ、個々に作業する製造業や農林水産業、建設業などで高かった。

 労働時間別では、週61時間以上働いている人は、全体平均に比べ、孤独を感じる頻度が約2倍高かった。調査に参加した東京大大学院の川上憲人特任教授(精神保健学)によると、多忙な職場では同僚との相談や雑談の機会が限られ、プライベートの時間も少ないことが影響したとみられるという。

 4月は新たな環境で孤独を感じやすい時期だ。川上特任教授は「なじめないと思うのは自然な反応。2~3カ月はそういう時期があると思い、徐々に職場の人と関わるようにしてほしい」と呼びかける。また対処法として「孤立のメリットにも目を向けて。1人だと集中できると思えば、少しは気持ちが楽になる。孤独感は人付き合いを求めているサインなので、少しずつ人と接する時間を増やしてほしい。ただ、すぐに溶け込めなくても長い目で関係をつくることが大事」と話した。【木許はるみ】

毎日新聞

社会

社会一覧>

写真ニュース