「助けてと言える社会を」 大ヒット映画監督補がヤングケアラー描く

2025/07/03 08:45 

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 家族の介護や世話を日常的に担う18歳未満の子ども「ヤングケアラー」を題材にした長編映画「助けてなんて言えないよ(仮)」が和歌山県海南市で撮影されることになり、製作発表が1日、同市内であった。高明(こうめい)監督(45)は「ヤングケアラーの問題を真正面から描き、助けてと言える社会を作るきっかけにしたい」と訴える。2027年に全国の映画館での上映を目指す。

 23年に公開した大ヒット映画「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」で監督補を務めた高明監督。今年2月にヤングケアラーだった男性と出会ったことをきっかけに、家族の問題で苦しんだ自身の体験も踏まえた映画の製作を決めた。

 主人公は12歳の少年で、精神疾患を抱える母やうつ病の父のもと、幼い弟の世話や家事を担うストーリー。「家族を守りたい」という思いで懸命に生きるあまり、孤立を深めていく様子を描く。母親役は、今春の民放ドラマ「あなたを奪ったその日から」にも出演していた俳優の田山由起さんが演じる。

 高明監督が11年前に海南市を訪れた縁で市民との交流が続いており、今回ロケ地となった。撮影は8月中旬からで、来年度からの統合が決まっている南野上小学校も使われる。

 いずれはヤングケアラーの当事者らに届くような、公民館などでも上映できる作品にしたいという。撮影費や上映活動費を8月31日まで、クラウドファンディングサイト「キャンプファイヤー」で募っている。【安西李姫】

毎日新聞

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