トライグループ、新潟の水俣病被害者団体に謝罪 教材に誤表記

2025/07/18 17:44 

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 「家庭教師のトライ」の運営会社トライグループ(東京)の中学生向けオンライン教材が水俣病を「遺伝する」と誤って説明していた問題で、同社の幹部が18日、新潟市を訪れ、被害者団体などに謝罪した。

 この日は同社の阿部正純・執行役員ら2人が複数の被害者団体と面会。このうち、新潟水俣病被害者の会と阿賀野患者会、共闘会議の患者や関係者9人との面会では、団体側が「教材を作成するにあたり被害者や語り部の声を聞くこと」「新しく作成する映像教材に語り部の講話を組み込むこと」を求める申し入れ書を手渡した。

 阿部氏らは「重大な見落としがあった。差別偏見の撲滅のための努力を踏みにじる形になってしまった」と陳謝。問題が発生した経緯やチェック体制の強化策などについて説明し、団体の申し入れに対しては「教材作成では加害や被害の事実を見極め、(被害者や関係者らの)声にしっかりと耳を傾け対応したい」などと回答した。

 これに対し、団体側は問題が発生した原因の究明が不十分だと指摘し、再度報告を求め、新潟での現地視察や被害者の声を聞く研修を実施するよう求めた。

 面会した新潟水俣病被害者の会会長で、24年前から語り部を続けている小武節子さん(88)は「水俣病に関する正しい知識を身につけてもらいたいと必死にやってきた努力が水の泡みたいで悲しい。水俣病は外見では分からないので、ただでさえ変な目で見られるのに(間違った情報を伝えられて)大変な思いをしている。しっかり勉強して、二度とないように気をつけてほしい」と訴えた。

 面会終了後、報道陣の取材に答えた阿賀野患者会会長代行の曽我浩さん(77)は「すっきりしない態度だった。(トライは)教育機関なので正しいことを正しく伝えてほしい」と注文した。【戸田紗友莉】

毎日新聞

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