<皇室スケッチ>天皇陛下、万博で国際親善 ヨーグルトから音楽まで多様な話題で
天皇、皇后両陛下はモンゴルへ、長女愛子さまはラオスへ、秋篠宮ご夫妻の次女佳子さまはブラジルへと公式訪問があった2025年、皇室は国内でも国際親善に忙しかった。
大阪・関西万博に合わせて各国の王族や大統領らが来日し、両陛下や皇族方がおもてなしを重ねられた。皇室の友好親善を振り返る。
◇28カ国の元首らと懇談
4月から10月に開かれた万博には、参加国が日替わりでPRする「ナショナルデー」があり、各国要人が次々に来日した。
天皇陛下との面会を希望した場合、陛下は皇居・御所に招いて懇談。一日に2カ国の元首らと会う日もあった。宮内庁幹部は「できる限り、お会いになるというのが陛下の基本姿勢だった」と振り返る。
戦後80年の今年は皇后雅子さまとともに硫黄島、沖縄、広島、長崎へ戦没者慰霊に向かうなど、例年よりも地方訪問が多かった。タイトなスケジュールにならざるを得ない中で、日程が調整された。
陛下が万博関連で面会したのは28カ国で30回に上った。
側近からは体調を心配する声もあったが、陛下が各国に応じた話を振り、和やかな雰囲気で進んだという。
宮内庁によると、テーマは各国の音楽や食、文化、気候変動を含めた環境問題など多岐にわたった。
◇平和への思いにじませ
戦争の歴史を振り返り、平和への思いがにじむ場面もあった。
7月に訪問を受けたミクロネシア連邦のシミナ大統領には、太平洋戦争で多くの戦死者が出たことに触れ、遺骨収容への協力に感謝を伝えた。ミクロネシアのトラック諸島(現チューク諸島)には連合艦隊の主要拠点があり、米軍の空襲で日本の艦船が海に沈んだ。
6月には、ドイツのシュタインマイヤー大統領と戦争の記憶をどう継承していくかが話題になった。大統領は今年の議会で、ナチスの過去を背負いながら自由と民主主義を積極的に擁護する姿勢が大事であるという趣旨の演説をした。
内容を把握していた陛下は「過去と向き合い、次の世代に伝えていくことが非常に重要だと考えている」と賛同の気持ちを伝えた。宮内庁幹部は「お迎えする一人一人に対して、とても丁寧に準備されていたのだと思う」と話す。
◇万博での思い出も
10歳のときに開かれた1970年の大阪万博にちなんだエピソードも度々披露した。
スリランカのディサナヤカ大統領には「おいしくセイロンティーを飲みました」と会場で味わったお茶の思い出を語った。
ブルガリアのラデフ大統領から、万博で昭和天皇と香淳皇后が食べた後、日本でブルガリアヨーグルトが広まったと話を向けられた陛下は、上皇ご夫妻もブルガリア産ヨーグルトの種菌を育てて食べていたことを紹介。「食べても食べても、菌をちょっと残しておくと増えるのが興味深かったです」と懐かしんだ。
欧州の国とは音楽談議で盛り上がった。
ビオラ演奏に親しむ陛下はハンガリーのシュヨク大統領に「バルトークのビオラ協奏曲がとても好きなのですが、難しくて十分に演奏ができるようになっていません」と打ち明けた。
世界で最も男女格差の少ない国と評価されているアイスランドのトーマスドッティル大統領には「なぜジェンダー平等が実現しているのですか」と尋ねた。
皇室と長年交流のある各国王室の国王や皇太子、王女らとは、旧交を温める機会にもなった。雅子さまや愛子さまも交えて、夕食やお茶を共にした。
◇秋篠宮ご一家も交流
こうした交流は天皇ご一家だけではなく、秋篠宮ご一家も住まいの宮邸で王族らをもてなした。
9月19日、バーレーン王室のサルマン皇太子と長男のイーサ王子が秋篠宮ご夫妻を訪ねた際は、長男悠仁さまの成年式が話題になり、悠仁さまも懇談の場に加わった。
158の国・地域が参加した今回の万博は、秋篠宮さまが名誉総裁を務めた。開会式には両陛下と秋篠宮ご夫妻がそろって出席した。
期間中、上皇ご夫妻と常陸宮ご夫妻、三笠宮家の瑶子さまを除く皇族が相次いで会場となった大阪市の人工島・夢洲(ゆめしま)に出向いた。各国のパビリオンを見学したり、ナショナルデーのイベントに各国要人と一緒に出席したりして万博の盛り上がりを支えた。
愛子さまはシンガポール館にあった、夢をタッチパネルに書くコーナーで「世界平和」と記した。
佳子さまは公式訪問歴のあるブラジルやペルーのパビリオンで、それぞれの文化に改めて触れた。
初の単独での地方公務が万博視察となった悠仁さまは、ベルギー館などに足を運んだ。
国際的なお祭りである万博を彩る皇室の活動は、70年の大阪万博、05年の愛知万博(愛・地球博)と受け継がれてきた。
大学を卒業してから公務を本格化させている愛子さまや、成年皇族として歩み始めたばかりの悠仁さまら若い皇族方にとって、万博は皇室の大切な活動の一つである国際親善の幅を広げるきっかけになったようだ。
閉会式のおことばで秋篠宮さまは「多くの人々が夢洲に集い、つながり、相互理解を深め、人類が直面している共通の課題への解決策について共に考える機会を得たことは、非常に意義深い」と述べ、「これからも世界が手を携え、『いのち輝く未来社会』を創り上げていくことを期待しています」と締めくくった。【柿崎誠】
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