主要先進国では「常識」 アスベスト除去免許制、日本は未導入

2026/08/17 04:50 

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 多くの建物に残っている発がん物質のアスベスト(石綿)の除去を巡り、日本を除く主要先進国が業者に免許を交付するライセンス制度を設けていることが民間団体の調査で分かった。国内には個人の資格制度はあるが、2日間の講習を受講して試験に合格すれば取得でき、資格の更新は必要ない。行政による評価や監視が行き届きにくいことも課題で、専門家からは手抜き工事への懸念や、国の規制権限の不行使を問う声が上がっている。

 ◇コスト削減で作業省く業者も

 石綿疾患の被害者や労働組合、支援団体でつくる石綿対策全国連絡会議(東京都江東区)の調査で判明した。調査によると、欧州連合(EU)は加盟各国への指令で「除去業は権限を有する機関の許可が必要」と規定。英国やフランス、ドイツ、オランダなどが免許制度を設けている。また、米国、オーストラリア、韓国などにも同様の制度があるという。

 石綿の除去は通常、建物の改築や解体の際に行われる。飛散防止のため、現場をプラスチックのシートで密閉して気圧を外部より低い「負圧」にし、除じん装置で空気を浄化しながら作業する必要がある。しかし、コスト削減で資材や作業を省く業者や、技術が未熟で現場の密閉に失敗する事例が指摘されている。

 こうした事態を防ぐため、英国では政府機関が、除去方法や技術者の有無を厳しく調査し、運転免許のような有期の免許を業者に発行する。免許の更新審査も定期的にあり、手抜き工事や飛散事故が発覚すると、免許を剥奪したり、停止したりする。

 厚生労働省化学物質対策課は「石綿除去業者でライセンス制は導入していないが、必要な知識を有する人が解体などの作業に対応し、支障があれば労働基準監督署が作業の停止を命じることもできる」と説明。「石綿の吸い込み防止が適切に担保されるように全体的に構築されている」としている。

 石綿全国連の古谷杉郎事務局長は「石綿の除去などの免許制は、世界の工業国ではいまや常識になっている。韓国では環境省が石綿の飛散防止対策に積極的に動いてきた。これ以上被害者を出さないため、政府は、除去業者の質の向上のため免許制度を設けるべきだ」と話している。【大島秀利】

毎日新聞

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