大リーガー最多の集団を作った、誠実な気配りの指揮官 井端監督
野球日本代表「侍ジャパン」の井端弘和監督の退任が発表された。結果が全ての世界において、歴代ワーストのワールド・ベースボール・クラシック(WBC)8強での敗退ということで驚きはない。ただ担当記者として、敗退直後の井端さんへの痛烈な否定意見はつらかった。誠実な気配りの人だからだ。
井端さんは就任直後から何度となく渡米。日本出身の大リーガーに接触しWBC出場を打診した。プロ球団でいえば、フロントの仕事である。だが、侍ジャパンのフロントに相当する日本野球機構(NPB)はその役割を十分に果たせず、井端さんは自ら、動いた。
例えば、菊池雄星投手(エンゼルス)だ。井端さんは、菊池投手が帰省するタイミングを見計らって電撃訪問。意気に感じた菊池投手は、参加を承諾した。井端さんの熱意が際立った。
ダルビッシュ有投手(パドレス)をアドバイザーとして招いた時は「敬語の圧がすごかった」(ダルビッシュ投手)そうだ。井端さん本人に問うと「僕は誰に対してもそうですよ」。15歳以下日本代表で指導していた時も同じだったそうだ。だからこそ史上最多8人もの大リーガーが集った。
メディアに対しても同様だ。ある記者会見で司会が質問を打ち切ろうとした際、何か聞きたそうな海外メディアの記者の様子に気づいた井端さんは自ら質問を促し、穏やかに回答した。
誰よりも、グラウンドに立つ選手を尊重した。データ重視の野球が広がるなか「守備位置などは、グラウンドにいる選手が感じたことが一番。自分も現役の時はチームの指示ではない位置で守ったことがある」と話していた。
実は昨年末、自らの発案で亜大野球部時代の同学年を集めて壮行会をしてもらった。その時は「不思議と緊張していない」と話していたそうだが、尋常ではない重圧があったからこそ、仲間の助けがほしかったのだろう。
「これがトレンド」と長距離打者をそろえた打線の批判もあったが、決勝まで取材した記者からすると他チームも含めて本塁打が得点のほとんどを占めていたと感じる。井端さんの目は確かだった。
志半ばでの退任となってしまったが、まだ50歳。まずは一休みして、再び、監督として戦う姿を見たいと思う。【岸本悠】
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