万博後の経済発展、どう支えていくか 関西経済連合会・松本会長の話
2025年は4月に大阪・関西万博が開幕する万博イヤーだ。成功に向けてどう機運を高め、閉幕後にはレガシー(遺産)をどう活用していくのか。関西経済連合会の松本正義会長(80)=住友電気工業会長=が毎日新聞のインタビューに応じ、万博後の経済発展を見据え、万博で登場した技術の商業化を支援する組織作りの必要性を訴えた。運営費を担うチケット販売についても「気を引き締める必要がある」と指摘した。【聞き手・妹尾直道】
――2025年の関西経済をどう見通していますか。
◆24年の関西経済は悪くありませんでした。国内全体で24年1~11月に3300万人が来たインバウンド(訪日外国人)に助けられました。大阪駅北側にできたグラングリーン大阪は、大阪の街そのものの魅力を高めています。都心の真ん中に緑の広場ができ、街に品格や憩いの場としての安心感が生まれています。
25年は万博というスペシャルプロジェクトがあり、関西経済の活性化に役立つでしょう。万博を機に海外の政府や企業とつながることは、日本企業にとって有益なツールになります。日本企業が世界の企業と協業することへのポテンシャルは大きいです。
――万博の開幕が近づく中、機運醸成は課題です。
◆はじめのころは困ったものだと思っていました。最近は大屋根リングが完成し、パビリオンの完成度も上がっています。(委員長を務める)日本国際博覧会協会の機運醸成委員会でもいろいろなアイデアを実行しています。関東でも徐々に鉄道が万博仕様にラッピングされ、ミャクミャクが描かれた飛行機も就航しました。
――前売りチケットの販売は目標の1400万枚に対して約742万枚(昨年12月11日時点)にとどまっています。
◆経済界は割り当て分(700万枚)を購入しましたが、一般の方が買っているかというとそうでもありません。興味を持ってもらえるかが課題です。近づいてくると興味を示してくれる人が増えるでしょう。3~5月にはプロモーションの重点期間もあります。チケットの売り上げで運営費を賄うので、気を引き締めていく必要があります。
――万博で出展された先端技術などのレガシー(遺産)をどう育てていきますか。
◆経済界や政府、地方公共団体、学術機関が一体となって議論する組織が必要です。大阪府・市が事務所やスタッフを置くのが良いのではないでしょうか。大阪ヘルスケアパビリオンには多くの中小企業が出展します。そうした企業を発展させるためにもマネジメントのアドバイスや、資金の援助に対応できるようにするべきです。やり遂げるには人員と組織と時間が必要です。(閉幕後に関西経済の地盤沈下が進んだ)1970年の大阪万博のようになってはいけません。製品や技術を育てていけるか、経済人の考え方に懸かっていると思います。
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