万博の集客、中国人が切り札? 海外客に注目、猛アピールの狙いは
2025年大阪・関西万博の開幕が近づく中で、カギとなるのは海外観光客の動向だ。特に関係者が注目するのは中国。昨年終盤から関係者が北京や上海を訪れて猛アピールを続けている。中国側も政府代表団を派遣する方針で協力姿勢だが、果たして中国人は集客の切り札になるのか?
「海外、とりわけ隣国の中国の皆様にお越しいただき楽しんでいただきたい」。24年11月27日、北京市で開かれた万博のPRイベントで関西経済連合会の佐藤基嗣副会長があいさつした。列席した中国国際貿易促進委員会の李慶霜副会長が「中国政府は大阪万博への参加を非常に重視している」と応じた。
イベントには中国の旅行会社や現地メディアも参加。万博の公式キャラクターのミャクミャクも登場して会場を盛り上げた。
24年9月以降、北京や上海、広州といった主要都市のイベントにミャクミャクは相次いで登場、万博をPRしている。大阪市の横山英幸市長も12月4日、上海市長と会談して大阪万博への来場を呼びかけた。
◇インバウンド需要に狙い
関係者の狙いはインバウンド需要の取り込みだ。24年の訪日外国人客数は11月までで3337万9900人と年間過去最多を更新。うち637万6900人が中国からの訪日客だった。
万博では2820万人の来場者を見込むが、うち350万人を海外客と予想。「中でも中国からの来場者を最も当てにしている」(財界幹部)といい、京都や神戸、奈良などの関西の近隣都市への旅行も同時にアピールしたい考えだ。
関西は他の地域と比べて伝統的に中国との経済関係が緊密という背景もある。昨年11月には関西経済連合会の松本正義会長や大阪商工会議所の鳥井信吾会頭などの財界幹部が北京を訪問。面会した中国の何立峰副首相は中国政府として代表団を送ることを約束した。
◇中国側にもメリット
中国側としても、国内経済が低迷する中で日本との交流を活発化させることはメリットがある。中国のパビリオンやナショナルデーなどで対外的に中国をアピールする機会とも捉えているようだ。
ある中国の旅行会社社長は毎日新聞の取材に「関西には技術を持った中小企業も多い。万博をきっかけに両国の企業のマッチングにつながるような機会を提供したい」と意気込む。
ただ、「中国一般での知名度はまだない。食や体験など分かりやすい魅力が必要」(北京在住の女性)というのも実情だ。チケットの買い方なども周知する必要がある。昨年12月の日中外相会談で中国人の訪日ビザ発給要件が緩和されるなどの追い風はあるが、開幕までにどれだけアピールできるかが課題だ。【北京・松倉佑輔】
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