石油安定供給「最後のとりで」 2度目の放出始めた白島備蓄基地
イラン情勢緊迫化に伴う石油の国家備蓄の放出が、北九州市若松区沖約8キロにある白島国家石油備蓄基地でも始まった。国家放出は2022年7月のウクライナ情勢に伴う放出以来2度目。「石油安定供給の最後のとりで」といわれる基地を取材した。
◇世界最大規模の洋上タンク方式
基地は1日4往復の連絡船だけが交通手段で関係者しか乗船できない。片道約40分。この航路を工事関係者など1日約350人が通い、原油放出がない時も24時間体制で保守・点検・管理を実施している。
白島基地は全国に計10カ所ある国家石油備蓄基地のうちの一つで世界最大規模の洋上タンク方式。敷地面積は約74ヘクタールで、防波堤に囲まれた洋上に原油約70万キロリットルの容量を持つ貯蔵船が8隻浮かぶ。1隻の大きさは長さ397メートル、幅82メートル、高さ25メートル。長さは16両編成の新幹線と同じであまりに巨大で見た目には船とは分からない。
主に中東産原油を備蓄しており、最大で約560万キロリットル(日本の消費量の約20日分)の備蓄が可能だ。洋上にあることで地震などの災害に強く、大型タンカーが接岸しやすい。一方で海上への重油漏れ対策は厳重で貯蔵船の水封タンク、それに防油堤、防波堤の三重となっている。
◇4月中に計180万キロリットル放出予定
基地は1981年に立地が決まり97年10月に原油の貯蔵が完了した。これまで平均して2年に1度油種入れ替えなどによる払い下げ放出を実施してきたが、国家放出は2022年7月のロシアのウクライナ侵攻時の放出(計58万キロリットル)のみ。今回は4月中に計180万キロリットルを放出する予定となっている。
3月27日は第1弾として30万キロリットルの積載量のタンカーに約60時間をかけて原油を放出する作業が始まった。約100人の作業員のほか、北九州市消防局の職員らも立ち会い安全を確認。基地の操業を担当している白島石油備蓄北九州事業所の佐々木一副所長は「毎年の訓練などを通じて放出に備え24時間体制で準備してきた。エネルギー安全保障の一翼を担うため安心安全に作業をしたい」と話していた。
陸側の若松区響町1には石油の基礎知識や備蓄事業の概要を学ぶ「白島展示館」があり、石油備蓄事業の概要や安全対策などが学べる。入場無料。午前10時~午後4時。月曜、第4火曜日休館日。【山下智恵】
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