【東京国際映画祭】是枝裕和×クロエ・ジャオ対談「なぜ物語を語るのか」
(左から)クロエ・ジャオ監督、是枝裕和監督

【動画】映画『ハムネット』海外版予告
『ハムネット』は、ウィリアム・シェイクスピアの名作「ハムレット」が生まれたきっかけとなる悲劇と夫婦の愛の物語。この日の対談では、「なぜ物語を語るのか」「映画とはどこで観られるべきか」など、創作者同士ならではの深い対話が展開された。
是枝監督は『ハムネット』について、「クリエイターとして、なぜ自分は悲しい物語を書くのか、なぜ映画を撮るのか――そのすべてを包み込んでくれるような作品でした。人が劇場という場所に集まり、悲しみを共有すること。それ自体が映画の大きなテーマなんだと思いました」と語った。
ジャオ監督は是枝監督の『ワンダフルライフ』(1999年)を見返して「1時間くらい泣いてしまいました」と告白。「『ワンダフルライフ』と『ハムネット』は似ています。『ハムネット』も“人生をどう見つめるか”を問う作品です」と応じた。
『ワンダフルライフ』は、人が死んでから死後の世界へたどりつくまでの7日間を描いたファンタジードラマ。死者たちは“中間の場所”で大切な思い出を1つだけ選び、その思い出はスタッフたちの手によって映画として再現される。
ジャオ監督は「物語の中で“中間の場所”で働く人たちの姿に、自分の創作姿勢と重なる部分を感じました。それが喜びであっても、苦しみであっても、私たちのもとへ戻ってくること自体が、ひとつの奇跡のように思えます。そうした経験に意味を与えることで、人生という決して容易ではない営みを、ほんの少しだけ軽くしてくれる。それが、私にとって物語を語る理由であり、創作そのものの意味なのです」と語った。
是枝監督は「クロエさんの映画は、『ノマドランド』もそうですが、主人公と一緒に旅をしていくような作品ですよね。物語がどこにたどり着くのか分からないまま、人生のように寄り添いながら進んでいく。その視点が僕はすごく好きなんです。今回の『ハムネット』も、そのスタンスは変わっていないと感じました」と指摘。
これに対し、ジャオ監督は「映画を成立させる鍵は、脚本どおりに撮ることではありません。『ハムネット』でも最大のカタルシスは、撮影の4日前まで存在しませんでした。書いた結末を撮ってみて『これは違う』と悟り、主演のジェシー・バックリーも同じ感覚を持っていました。その夜は眠れず、翌朝、彼女がマックス・リヒターの『On the Nature of Daylight』を送ってくれたんです。その音楽を聴いたとき、世界と一体になる感覚が訪れ、雨に手を伸ばした瞬間に気づきました。愛は消えず、形を変えて生き続ける――あの感覚が結末になったのです」と語った。
続けて、「私はいつも結末を“見つける”のを待っています。意識と無意識のあいだで、俳優たちとその瞬間を探していく。現場で生まれる“偶然の真実”こそが、私にとっての映画のエンディングなんです」と述べた。
是枝監督も「準備不足の言い訳に聞こえると困るんですが(笑)」と前置きしながら、「今まさに撮影中で、残り2週間ほど。スケジュールを見ながら『この日にこの俳優がいるなら、もう1シーン撮れるかもしれない』と考えています。実はラストシーンは撮り終えていますが、そこに至るまで“まだ何ができるか”を探すのが好きなんです。現場の空気や俳優のイメージを感じながら脚本をその場で書き直す。スタッフはヒヤヒヤしていますが(笑)、現場で生まれたものはたいてい間違いがない。やっぱり現場で見つかる発見が一番豊かなんですよね」と話した。
また、撮影と同時に編集も進めているという是枝監督は「撮った映像をその日のうちに編集して、翌日の撮影プランを修正することもあります」と明かすと、ジャオ監督は「私は夜は寝ます。8時間は睡眠をとりたい」と笑顔で返した。
現在、是枝監督は2本の企画を同時進行中で、そのうち1本は撮影の真っ最中。来年撮影予定の新作は今春に脚本を完成させ、来年はその撮影と並行して、今年撮った2本の編集作業を行う予定だ。
「ワークライフバランスなんて、もうなくなってますね(笑)。でも、それが嫌じゃない。今が本当に楽しいんです。60歳を過ぎた“おじいちゃん監督”が現場で楽しそうにしている姿を見て、若いスタッフや子どもたちが『映画づくりって楽しいものなんだ』と思ってくれたらうれしい。それが僕にとっての“ワーク”であり、“ライフ”なんです」と、充実した笑顔を見せた。
最後に、次回作について尋ねられたジャオ監督は、「私たちが物語を選ぶのではなく、物語が私たちを選ぶ。『ノマドランド』までの3作品では、アイデンティティや帰属意識を描いてきました。『エターナルズ』と『ハムネット』に共通しているのは、人と人とのつながり、そして“集うこと”。今は“分離”という幻想をどう解きほぐせるかに関心があります。生まれる前の静かな瞬間のように、自然や他者と一体になれる感覚――それを映画で表現できたらと思っています」と締めくくった。
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