山田孝之企画の俳優オーディション番組も話題 “演者”主導による原石の発掘がスタンダードに?
山田孝之 (C)ORICON NewS inc.

【写真】全身ブラックコーデで落ち着いた雰囲気の山田孝之
◆平成から続くアーティスト主導のオーディション番組 令和では現役世代による仲間探しが主流に
近年、アイドルグループではスタンダードとなっているアーティスト(自身も演者)主導のオーディション番組。昭和では、『スター誕生!』(日本テレビ系)のように、テレビ局やレコード会社、芸能事務所が主導だった。そして平成では、モーニング娘。を誕生させた『ASAYAN』(テレビ東京系)の「シャ乱Q女性ロックボーカリストオーディション」(1997年)でのつんく♂(当時シャ乱Q)が、単なる審査員の1人ではなく、プロデューサーとして企画の根幹から最終決定までを担った。
そのつんく♂が築き上げたオーディション番組の方式を引き継ぎつつ、『Nizi Project』(2020年・2023年・Hulu/NiziU、NEXZ)でのJ.Y.Park は、“努力・友情・笑顔”といった真逆のスタイルがウケた。彼らはアーティストでもあるが、プロデューサーとして第一線で活躍し、一歩引いた目線で参加者と接していた。
一方、令和のスタンダードとなっているアーティスト主導のオーディション番組は、自身もステージに立つ現役世代によるもの。『THE FIRST』(2021年・Hulu/BE:FIRST)や『MISSIONx2』(2023年・Hulu/MAZZEL)でのSKY-HIは、「対等なアーティスト(仲間)」として全肯定からの対話とリスペクトを持って接した。そして『No No Girls』(2024年・Hulu/HANA)でのちゃんみなは、既存の価値観で「No」と言われてきた人々に寄り添う、姉のような距離感で参加者の魅力を引き出した。
さらに、新メンバー募集の『timelesz project -AUDITION-』(Netflix)では、菊池風磨、佐藤勝利、松島聡の三者三様の言動が社会現象にもなった。「仲間探し」を掲げ、厳しい採用面接と家族を迎えるためのお見合いが混ざり合ったような、シビアかつ情熱的なものがウケた。
◆オーディションでの個性や感情も脚本に…山田孝之主導の長編オリジナル映画製作
アーティストプロデュースによるオーディションリアリティ番組は、令和のスタンダードとなったが、その流れが俳優へと波及していきそうだ。今秋、Leminoで配信のオーディション番組『THE OPEN CALL -MAIN PARTNER 山田孝之-』は、オリジナル映画の主要キャストを選ぶものだが、参加者の“選考過程”そのものを番組として配信。オーディションで浮かび上がった個性や感情を脚本に取り込み、最終的に長編オリジナル映画へとつなげていく。
アイドルグループの活動には賞味期限があるとも言われ、年齢制限(上限)はつきものだった。一方、本オーディション番組では、山田が「50代、60代のスターが生まれてほしい」と言うように、年齢15歳以上(2026年3月時点で中学校卒業以上)であれば、実績や経歴を問わず応募が可能。バイプレーヤーや遅咲きの主演も多数いるが、今回は、「年齢」そのものがコンテンツになり、それがドラマを生むことになるだろう。
2月19日に都内で行われた『Lemino NEXT STAGE』に登壇した山田は、「現段階でもかなり多くの応募がある。少しずつビデオを見ているんですけど、面白くなりそうです」と胸を膨らませる。俳優やプロデューサーからも「すばらしい取り組みをやっているね」と反響があったようだ。
また、「オーディションでは、一緒に芝居をやっていく過程もあるんですけど、いろんな俳優さんがぜひ芝居に参加したいと、結構な方々が手を挙げてくれている。期待してもらっていい」と参加者と演技をしながらパートナーを選んでいく。
◆山田孝之は俳優主導のドラマ・映画製作の潮流を築いた立役者 俳優オーディション番組でも第一人者へ
映画『デイアンドナイト』で脚本・プロデューサーを初めて担当した山田は、『ゾッキ』や『聖☆おにいさん THE MOVIE』などでも裏方として才能を発揮し、短編映画制作プロジェクト「MIRRORLIAR FILMS」では、若手監督の育成や映画祭の運営を手掛けた。「日本の映画業界をより良くしたい」という想いが強く、制作現場の労働環境改善や、新しい配給の形を模索してきた。
また、主演ドラマ『全裸監督』(2019年と2021年・Netflix)では、クレジットに名を連ねてはいないが、企画の初期段階から深く関わり、日本のドラマ製作の基準を塗り替えた作品でもある。市場が整っていない領域に積極的に踏み込み、道なき道を開拓してきた。
『THE OPEN CALL -MAIN PARTNER 山田孝之-』の製作発表で山田は、『全裸監督』についても言及していた。
「『全裸監督』をやる前は日本で(Netflixの)サービスが始まったばかりで、ヒット作と言えるものがなかった。でも今、日本発のオリジナル作品がたくさん作られるようになった。それです。失敗しようが何だろうがいい。起爆剤になって、誰かの勇気になって、みんなが動き出したら、それが目的です」(2月17日掲載/オリコンニュースより)
◆「新しいオーディション番組」のフォーマットとして機能するのか?
近年は、配信サービスを軸に俳優主導のドラマや映画製作が増えている。賀来賢人主演のドラマ『忍びの家 House of Ninjas』(2024年・Netflix)、佐藤健主演のドラマ『グラスハート』(2025年・Netflix)、MEGUMI出演のドラマ『くすぶり女とすん止め女』(2023年・テレビ東京)。そして海外では、真田広之主演のドラマ『SHOGUN 将軍』(2024年・ディズニープラス)が、米テレビ界の最高峰『エミー賞』において、史上最多・史上初の歴史的快挙を成し遂げた。彼らもまた現役世代であり、自身も出演しつつ企画・プロデュースを担った。
こうした作品づくりの前段となるオーディションだが、山田は「オーディション過程をなぜ番組にするかというと、これが“教材”になると思っている」と言う。これまで俳優の荒牧慶彦がプロデュースする舞台オーディションが、『ろくにんよれば町内会』(2023年・日本テレビ系)で放送されたこともあった。一方、俳優オーディションは、その過程をあまり明かされてこなかった。
オーディションの展望について山田は、「単発で終わらせるつもりはないので、次もやりたいですし、新たなスターを生み出し続けていきたい。ドラマ…という話も聞いたので、もしかしたらドラマにも発展していく可能性がありそうです」と期待を膨らませる。『THE OPEN CALL -MAIN PARTNER 山田孝之-』は、「新しいオーディション番組」のフォーマットとしての期待と、俳優という職業においてスタンダードになりうる可能性も十分に秘めている。
前述のアイドルグループによるオーディション番組では、プロデューサーであるアーティストそれぞれの審査スタイルに熱狂や感動、共鳴だけでなく、議論や波乱も生んだ。山田孝之がどのような姿を見せ、視聴者をどのように取り込むのか、この先の動向に注目したい。
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