マイケルを知らない世代へ――若き俳優たちが語る“キング・オブ・ポップ”の魅力
映画『Michael/マイケル』(公開中)マイケル役のジャファー・ジャクソン、ジャクソン5時代のマイケルを演じたジュリアーノ・ヴァルディ (C)ORICON NewS inc.

【画像】映画『Michael/マイケル』余韻にひたれる場面写真
映画『Michael/マイケル』は、野心家の父ジョセフのもとで厳しいレッスンを受けながら兄弟グループ・ジャクソン5として成功を収め、その後ソロアーティストとして歴史的な名曲の数々を生み出していくまでの軌跡を描く。栄光の裏にあった孤独や葛藤にも迫った作品だ。
主演を務めるのは、マイケルの甥で本作が長編映画デビュー作となるジャファー・ジャクソン(29)。幼少期のマイケルを演じたのは、SNSでマイケルのパフォーマンスを完全再現したダンス動画を投稿し、世界中から注目を集めてきた“天才キッズダンサー”ジュリアーノ・ヴァルディ(11)だ。
■「マイケルならサボらない」ジャファーが挑んだ2年間
実の叔父であり、世界中の誰もが知る伝説的スターを演じることについて、ジャファーは率直な思いを語った。
「マイケル・ジャクソンを演じることは挑戦だとわかっていました。難しかったです、本当に。でも僕は挑戦が大好きなんです。自分自身にも、家族にも、監督たちにも『僕にはできる』と証明したかった」
本作のために約2年間の準備期間を費やしたジャファー。振付を担当したリッチ&トーンのもとで徹底的なトレーニングを重ねた。一つの動きを完璧にできるまで何時間もリハーサルし、足に出血があっても踊り続けたこともあったという。
そんな過酷な日々の中で、自らを奮い立たせていたのは“マイケルならどうするか”という思いだったという。
「マイケルにもきっと同じような大変な日があったはず。でも彼は翌日にはまた起きて練習を続けていた。だから『今日は休もうかな』と思った瞬間に、自分に言い聞かせていたんです。『マイケルならサボらない』って」
ダンスだけではない。マイケル特有の柔らかく繊細な話し方を再現するため、音声資料を何度も聞き込んだ。
「見つけられる限りの音源を聞いて、一日中繰り返し再生していました。本を音読するときもマイケルの声で読むようにして、自然にその声が出るようになるまで何ヶ月も続けたんです」
さらに、役作りを通して発見した“人間マイケル”の魅力についてはこう語る。
「僕が一番知りたかったのは、彼の人間性でした。世界中の人々を音楽で結び付けようとしただけでなく、病院を訪れたり、恵まれない人たちと時間を過ごしたり、目の前にいる人にも真摯に向き合っていた。その優しさと献身に強く心を打たれました」
■マイケルを知らない世代が演じた“若きキング”
一方で興味深かったのは、幼少期のマイケルを演じたジュリアーノの視点だ。
マイケルが亡くなったのは2009年。現在10代前半の世代にとっては、リアルタイムで活躍を知る機会がなく、「名前は知っているけれど、どんな人物だったかは詳しく知らない存在」になりつつある。
そんな世代の一人であるジュリアーノに、「若い世代にとってマイケルのどんなところが魅力なのか」と尋ねると、意外な答えが返ってきた。
「正直に言うと、僕の周りでマイケルについてすごく詳しい子はあまりいません。『MJ:ザ・ミュージカル』に出ている子たちは別ですけど、僕たちの世代はマイケルが本当はどんな人だったのか、まだ理解していないと思います。でも、この映画を観ればきっと伝わるはずです」
いまの子どもたちにとって、音楽やカルチャーの流行はTikTokやYouTube、ストリーミングサービスが中心。能動的に検索したり、アルゴリズムで流れてきたりしない限り、80年代〜90年代に世界を熱狂させたポップスに触れる機会は意外とないのかもしれない。
ジュリアーノ自身も、「役をもらう前は大人になってからのマイケルのダンスばかり踊っていて、ジャクソン5の頃は全然知らなかった」と明かしている。
そんな彼が役作りを通して最も心を動かされたのは、マイケルが音楽に込めていたメッセージだった。
「僕が好きなのは、マイケルが本当に一生懸命働いて、音楽を通して僕たちにメッセージを伝えてくれたところです。例えば『アース・ソング(Earth Song)』は、地球を大切にしなければいけないことを教えてくれます。そうやって音楽で語りかけてくれるところを、僕は本当に尊敬しています」
■世代を超えて受け継がれるレガシー
インタビューの最後、お互いの演技について尋ねると、ジュリアーノはジャファーを「完璧」と評した。一方のジャファーも、「ジュリアーノは若い頃のマイケルが持っていた繊細さや大人びた魂を見事に表現していた」と称賛した。
世界中の誰もが知るスターでありながら、その素顔や人間性は時代とともに少しずつ遠ざかっていく。だからこそ、本作には大きな意味があるのかもしれない。マイケルを知る世代には懐かしく、知らない世代には新たな発見となる『Michael/マイケル』。ジャファーとジュリアーノという“2人のマイケル”を通して、そのレガシーは世代を超えて受け継がれていく。
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