重度知的障害の少年画伯、自閉症の少年画家が描く絵に「なぜか引き込まれる」 絵で伝えられる心…

2026/08/28 15:40 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

手や服にも飛び散るほど全力で描くルカくんの様子/@luka_kai_morris さん提供

 言葉では伝えきれない世界を、絵なら自由に表現できる――。そんな2人の少年画家がいる。重度の知的障害を伴う自閉症のルカくん(9歳)は、カラフルな色と線が交差する独創的な抽象画を描き、コンクールでの受賞や個展の開催など活躍を続けている。自閉スペクトラム症(ASD)の特性を持つ中西翔哉くん(11歳)は、5歳で絵を始め、9歳でプロデビュー。いまでは100号の大作も描き上げている。2人にとって、絵は自分の世界を表現し、人とつながるための大切な手段。そんなわが子の才能に、家族はどう気づき、どのように寄り添ってきたのか。2組の親御さんに聞いたエピソードをあらためて振り返る。

【写真】9歳プロデビューの少年画家 馬の骨格も意識して…100号の大作を描く様子

■言葉を話せない重度の知的障害の少年画伯、絵に込める“心の声”

 重度の知的障害を伴う自閉症の9歳(投稿時は8歳)の少年・ルカくん。大きなキャンバスにカラフルな点や線が無数に交差する抽象画を、手や服にもインクが飛び散るほど夢中になって描き続ける姿がInstagramで話題になった。「こういう才能が生かされる世界であってほしい」「なぜか引き込まれる」など、ルカくんの絵や描く姿に心を動かされたというコメントが多く寄せられている。

 4歳の夏に突然、カラーペンで絵を描くことに没頭し始めたルカくん。療育園先や幼稚園、家の中で時々ペンやクレヨン、絵の具などに触れる機会はあったという。

「ルカの中でそれらを使うことが“僕の気持ちが表現できる方法”であると気づくことができたのではないかと私たち家族は思っています」

 まだ言葉を話さないルカくんにとって、絵を描くことは真正面から思いを乗せることができる、“自分の気持ちを保つためになくてはならない方法”だという。

 描き始めた頃は丸やいびつな線を描いていたが、次第に両手にペンを持ち、弾くように描く独自のスタイルへと変化。

「明るく楽しいときはカラフルに、怒りや高ぶる気持ちのときは赤と黒を多く使うなど、感情が色に表れるのも印象的です」

 最近では「物の形」にも興味を示し、9歳になってすぐには初めてピザを描いたそうだ。

 一方、現在も身の回りのさまざまなことに介助が必要で、母・モリス千賀子さんは将来の自立を心配している。

「私たち親は年老いていくので、いつまでもそばで支えてあげることはできません。ルカが将来、できるだけ生きていきやすい環境で生きていけるように、支援学校高等部卒業後の進路などもリサーチしています」

 現在は、英語や日本語で話しかけても、言葉の意味をだいぶ理解しているそう。ルカくんなりのスピードで少しずつ成長は見られ、昨年には一瞬はっきりと「スパゲッティー」と発したことも。母は「諦めずに希望を持って、ルカの成長のために一緒に頑張ってこれからも歩みたい」と話す。

 そしてルカくんには、これからも興味を持ったものにはどんどん挑戦していってほしいという。

「ルカは今、 絵を描くことが大好きで毎日のように描いていますが、ある日突然描かなくなるのか、それともずっと描き続けていくのかはわかりません。でも、本人が描きたいと思う間はできる限りサポートをしてあげたいと思っています」

■「普通という枠に無理やり押し込めない」“世界一”の夢を支える家族

 およそ畳1畳分にもなる100号キャンバスに、2匹のカラフルな親子馬を描く翔哉くんの姿を収めた「11歳画家の100号」という投稿がSNSで話題を集めている。「この子には世界がどう見えているんだろう」「才能を伸ばす環境もすごい」と驚きの声が寄せられている。

 絵を描いたのは9歳という若さでプロデビューを果たした翔哉くん。親御さんが翔哉くんの才能に気づいたのは、5歳の頃。画用紙に向かっているときの集中力に驚いたという。

「12時間近く描いて、普通なら飽きたり疲れ果てたりするはずなのに、絵を終わらせようとすると泣いてパニックになるときもありました。『この子にとって絵を描くことは、ただの遊びではなく特別なことなんだな』と気づかされました」

 絵を描くときに体勢を支えるなどの物理的なサポートはしているが、最近は1人でアトリエにこもって描く時間も増え、少しずつ手が離れてきている寂しさと頼もしさを感じているそう。

「活動面については、個展などの企画は信頼する画廊さんにお任せし、私たちは作品の配送や打ち合わせのほか、日々の記録としてSNSをぼちぼち更新していくといった“裏方”に徹しています」

 翔哉くんの“自閉スペクトラム症”という特性については、言葉でうまく伝えられず苦労することもある一方、パッと空間を把握したり、一つのことに深くのめり込んだりする力は、絵を描く上でポジティブに働いていると感じているという。

「絵を通してなら自分の世界をのびのびと表現できるので、彼にとって絵は、社会と繋がるための大切なコミュニケーションツールになっているのだと思います」

 翔哉くんの作品には、「私はこの絵に恋をしました」という声も。本人も、絵を見てもらうことへの思いを強くしており、将来について「世界中の美術館で大きな個展をして、メガギャラリーの作家になりたいです。そして、絶対に世界一の画家になります!」と語っている。

 そんな夢を、親御さんは否定せず、一緒に実現する方法を考えている。

「子育てで大切にしているのは、『彼を“普通”という枠に無理やり押し込めないこと』です。本人が思い描くスケール感を大人の都合で小さくしてしまわないよう、周りと違うことを個性として受け止め、のびのびと挑戦し続けられる環境づくりを全力でサポートしていきたいと思っています」
ORICON NEWS

エンタメ