英国、パレスチナの国家承認へ G7で初 ガザ侵攻や西岸入植受け

2025/09/21 19:01 

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 複数の英主要メディアは20日、スターマー英首相が21日にパレスチナの国家承認を発表すると報じた。7月下旬に条件付きで国家承認する方針を示していたが、イスラエルが9月中旬にパレスチナ自治区ガザ地区ガザ市への地上侵攻を開始したことなどを受けて承認に踏み切る。承認すれば主要7カ国(G7)では初めてとなる。

 ロイター通信によると、ポルトガルも21日に国家承認する方針。フランスやカナダなども、22日に国連本部で開かれる首脳級会合にあわせて承認するとみられている。米国は国家承認に反対し、日本やドイツも承認を見送る。

 スターマー氏は7月29日、イスラエルがガザでの停戦に合意し、ガザでの人道危機を終わらせるための実質的な措置を取るといった条件を満たさなければ国家承認すると表明した。だが、その後もイスラエルはイスラム組織ハマスの掃討を強化し、民間人が巻き込まれたり、避難を余儀なくされたりして、人道危機は深刻さを増している。

 英メディアによると、国際法違反とされるパレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区でのユダヤ人の入植活動が拡大していることも、承認の理由だという。

 英国の国家承認の方針に対して、イスラエルのネタニヤフ首相は「ハマスのテロに報酬を与えることになる」などと反発してきた。イスラエルの後ろ盾である米国のトランプ大統領も反対を表明。ハマスに拘束された人質の家族の一部も、人質が帰還するまで承認しないよう要請してきた。

 スターマー氏は「ハマスはテロ組織で、将来のパレスチナの政府に関与することはない」などと強調し、理解を求めている。英メディアによると、英政府は今後、ハマスに対する制裁を強化し、人質の早期解放と停戦合意などを迫る方針。【ロンドン福永方人】

毎日新聞

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