「脅し」で打開狙ったトランプ氏 停戦発表まで緊迫の10時間
攻撃の激化か、それとも停戦交渉の合意か。米国のトランプ大統領が米東部時間7日午後8時に設定したイランとの交渉期限が迫る中、双方の政府内では慌ただしい動きが続いていた。世界が固唾(かたず)をのんで見守った緊迫の1日を振り返った。
トランプ氏はこの日午前8時5分ごろ、自身のソーシャルメディアで、攻撃は不可避との強硬姿勢を示す一方、「素晴らしいことも起きるかもしれない」とも投稿し、交渉の進展に期待をにじませた。
だが、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、イラン当局はトランプ氏の投稿から数十分後、仲介国のエジプト当局に対し、米側の交渉担当者との直接のやり取りを停止したと通告した。アラブ諸国の当局者は、トランプ氏の脅しがイランの革命防衛隊の態度をむしろ硬化させると懸念した。
米国防総省では午前9時ごろ、ヘグセス国防長官と制服組トップのケイン統合参謀本部議長、中央軍のクーパー司令官らがイランのエネルギー施設に対する攻撃の準備を進めていた。トランプ氏はイランの全ての橋や発電所の破壊を警告していたが、国防総省の法的審査を経た攻撃対象のリストでは、民間人への過度な被害を抑えるためにイラン軍や治安部隊との明確なつながりがある施設に絞られていたという。
欧州の同盟国からはトランプ氏に自制を求める声が相次いだ。WSJによると、イタリアのメローニ首相は「政権の責任と数百万人の市民の運命は明確に区別することが重要だ」と述べ、フランスのバロ外相も「文明を消滅させることはできない」と批判した。欧州の当局者たちの間では、トランプ氏の脅しは交渉戦術の一環で、最終的には攻撃を見送るとの見方が広がっていた。トランプ氏は午後、ホワイトハウス執務室で側近らとの協議を重ねるなどしていた。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、トランプ氏は午後5時ごろ、仲介国のパキスタンの軍トップ、ムニール陸軍元帥とイスラエルのネタニヤフ首相とそれぞれ電話で協議したという。
交渉の詳細は不透明なままだが、トランプ氏が2週間の攻撃停止に同意する意向を明らかにしたのは、朝の投稿から約10時間たった午後6時半ごろ。交渉期限とした午後8時まで約1時間半に迫っていた。【ワシントン金寿英】
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