国境を襲った未曽有の災害 「多国間の情報共有が必要」と専門家

2026/08/30 19:14 

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 ネパールと中国で起きた土石流を伴う洪水は、両国の国境付近で起きた氷河の崩落が引き金になったとの見方が強まっている。ヒマラヤの周辺地域では同様の災害リスクが高まっているとの指摘もあり、専門家は国境を超えた警戒システムや情報の共有の必要性を訴えている。

 専門家らの衛星画像分析によると、崩落が起きたのは、ネパール中部ラスワ郡の街ラスワガディから東へ約20キロの山中。氷河と岩盤が一体となって崩れ落ち、国境付近では土石流が時速約180キロまで達したとみられている。

 ネパールで災害リスクを分析するトリブバン大のシュスミタ・ダカル助教によると、ネパールには、河川の水位などを監視するシステムがあり、一定の洪水対策が講じられてきた。だが、今回は住民に危険を知らせる機器が流されて機能しなかったという。

 甚大な被害を受けたラスワ郡シャプルベシでは、氷河崩落からわずか10分ほどで土石流が到達した可能性があり、避難する余裕はほとんどなかった模様だ。ダカル氏は「今回の災害は性質や規模がまったく異なる。下流域で情報を受け取った人でも深刻さを十分に認識するのは難しかっただろう」と語る。

 土石流発生時の両国間の情報共有が不十分だったとの声も出ている。在ネパール中国大使館は、広大かつ複雑な地形での高精度な監視は国際的な課題だとした上で、「中国の専門家チームは常に全力で監視や分析を行っており、重要な情報をネパール側と適時に共有してきた」と反論している。

 ただ、国連などが2020年に公表した報告書によると、中国チベット自治区とネパールでは、決壊などのリスクがある氷河湖は約40カ所に上る。気候変動の影響を指摘する声もあり、国境を超えた防災協力の重要性は一層高まっている。

 ダカル氏は「ヒマラヤ地域の氷河は後退を続けており、氷河に関連した災害は今回が初めてではなく、最後でもない」と強調。周辺国が連携してモニタリングや警報システムの確立を進める必要があると訴えた。【ニューデリー松本紫帆】

毎日新聞

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