兵庫県知事、PR会社に70万円支払い認める 「公選法違反はない」

2024/11/25 16:26 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 兵庫県知事選で再選された斎藤元彦知事(47)は25日、自身の選挙戦に関わったPR会社側にポスターなどの製作費として70万円を支払ったと明らかにした。ただ、社長は選挙戦でSNS(ネット交流サービス)などを使った「広報全般を任せていただいた」とインターネット上で発信。選挙期間中に有償で主体的に広報業務を担った場合、公職選挙法が禁ずる買収に当たる可能性がある。これに対し、斎藤氏は「公選法に違反するような事実はない」と否定した。

 斎藤氏は東京都内で開かれた全国知事会に出席後、報道陣の取材に応じた。選挙戦でのSNS運用について「あくまで斎藤事務所が主体的にやったということだ」と述べ、PR会社社長は「ボランティアとして個人で参加されたと認識している」との見解を示した。

 県選管によると、公選法は、業者側に選挙運動用のポスターやチラシの製作費用を支払うことは認めているが、インターネットの選挙戦略の立案は陣営が行うもので、報酬を支払うと法に抵触する恐れがあるとしている。

 このPR会社は同県西宮市にあり、社長の女性は20日付でインターネットの投稿プラットフォーム「note」で、斎藤氏のプロフィル写真の撮影やポスター製作、SNS運用など選挙戦の裏側を紹介する記事を公開。当初の発信では、斎藤氏が会社オフィスを訪問したことから取り組みが始まったと説明していた。

 SNSについて「私が監修者として、運用戦略立案、アカウントの立ち上げ、プロフィール作成、コンテンツ企画(中略)などを責任を持って行い、信頼できる少数精鋭のチームで協力しながら運用していました」と明かした。このほか、斎藤氏の陣営が公式運用していたとするアカウントを引いて「私のキャパシティとしても期間中全神経を研ぎ澄ましながら管理・監修できるアカウント数はこの4つが限界でした」などと記していた。

 また、「兵庫県知事選挙に向けた広報戦略のご提案」と題した部分では、知事選告示前の10月1日から投開票日の11月17日までのSNS運用を「種まき」「育成」「収穫」の3段階で展開する資料も掲載。「(斎藤氏)ご本人は私の提案を真剣に聞いてくださり、広報全般を任せていただくことになりました」と紹介していたが、これらの記述はその後、削除された。

 総務省が2013年にまとめたインターネット選挙運動のガイドラインでも、選挙運動用のウェブサイトや電子メールに掲載する文案を業者に主体的に企画作成させて報酬を支払うと、一般論として買収に当たる恐れが高いとしている。

 県によると、この会社社長は県から複数の検討会の委員を有償で委嘱されている。

 斎藤氏の代理人弁護士は25日、毎日新聞の取材に「11月4日にPR会社に約70万円を支払ったが、ポスター製作などの相当な対価で買収には当たらない」と述べた。【大野航太郎、斎藤文太郎、面川美栄、中田敦子】

 ◇日本大学の安野修右(のぶすけ)専任講師(選挙制度論)の話 

 業者が一定の主体性を持ってSNSで活動内容を編集したり、文書を作成したりすれば報酬の支払いは公選法に抵触する場合がある。PR会社社長の投稿内容が事実であれば、主体性があると解釈され、選挙運動員に対する買収に当たる可能性が高い。

毎日新聞

政治

政治一覧>

写真ニュース