大分・臼杵の景観重点地区で大規模火災 町並み被害に住民ら落胆
大分県臼杵市臼杵の市中央通り商店街(八町大路)近くで24日午後に発生した火災は、約11時間半燃え続け、10棟以上が延焼した。現場付近は、臼杵城の城下町の雰囲気を残す歴史的な町並みで、観光客にも人気のスポット。ただ、古い町並みは建物が密集していることから消火活動が難しく、今回も鎮火まで時間がかかった。火災から一夜明け、無残に焼け落ちた建物の姿が明らかとなり、近隣住民からは驚きと落胆の声が上がった。
火災は24日午後1時50分ごろ、通行人から「家が燃えている」との119番があり、市消防本部が消防車計17台を出動させ、25日午前1時15分に鎮火した。
現場付近は、市が条例で「景観形成重点地区」に指定し、昔ながらの景観を保っている。一方で、古いまま建物同士が密集してつながっていたことから消火活動が難しくなった。同本部によると、建物の奥で火が上がると、放水用のホースを近くまで入れることができず、直接水をかけられなかったため、鎮火まで時間がかかったという。また、消火活動中に20代と30代の男性消防署員2人がけがをして病院に搬送されたが、命に別状はないという。
近くにある法音寺の住職、加藤顕栄さん(65)は、火災の様子について「真っ赤な炎と黒煙が上がっており、寺まで煙が漂ってきた。一旦火が収まったと思ったら、違う方から炎が上がった」と振り返った。
火災から一夜明けた25日午前9時半からは臼杵津久見署と同本部が現場で詳細な被害状況を調べた。周辺には焦げ臭いにおいが漂い、規制線の外から多くの人が見守った。
同署の調べでは、出火元は整体師の橋本光子さん(76)方の木造2階建て住宅とみられる。橋本さんは出火当時外出していて不在だった。
市は火災発生を受け、商店街に避難所を開設。近隣住民の被災者ら約20人が利用した。商店街振興組合の前田勝雅理事長(67)によると、近くのスーパーや医療機関などから食品や衛生用品などの支援物資が寄せられ、豚汁やカレーなどの炊き出しもしたという。
前田理事長は「町並みや景観が商店街の売りだった。この通りでこれだけの規模の火災は初めて」と声を落としたが、「まずは被災した人のケアをし、(復興は)市や県と連携していく」と語った。【神山恵】
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