挑戦者の永瀬九段「藤井王将との2日制は新鮮」 手探りの王将戦へ

2024/11/25 22:49 

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 ALSOK杯第74期王将戦リーグ七番勝負の藤井聡太王将(22)の挑戦者が25日、永瀬拓矢九段(32)に決まった。藤井王将とはタイトル戦で4度目の顔合わせになるが、2日制では初めての対戦。自身も4年前の王将戦以来の2日制ということもあり、永瀬九段は「私としては新鮮なタイトル戦になる」と期待をのぞかせた。

 ◇2度目の2日制は手探りで

 約1カ月前、リーグ戦が中盤戦に差し掛かった頃に藤井王将と2日制のタイトル戦を指していないことに気付いた。そこからは「より意識して力を入れた」と挑戦を本格的に見据えた。この日のプレーオフで西田拓也五段(33)を降して目標を果たし、「結果を出すことができてよかった」と安堵(あんど)の表情を見せた。

 七番勝負で注目の開催地に第1局の静岡県掛川市を挙げ、「例年、掛川で一年が始まるという感じがするので楽しみにしたい」と語った。

 過去に出場した13回のタイトル戦で、2日制は2回目。「2日制は出ていなさすぎて分からない。4年前の王将戦はもう記憶にない」といい、1日制との違いをどう出していくかは手探りになる。

 ◇竜王挑戦中の佐々木八段にエール

 竜王戦七番勝負で藤井王将に挑戦中の佐々木勇気八段(30)は、封じ手の入った封筒に手書きする割り印に「佐々木」「勇気」の2種類を使い分ける“新手”を繰り出している。このことを念頭に「勇気さんみたいには書かないようにする。気を付けるのはそれくらい」とおどけてみせ、報道陣の爆笑を誘った。

 その竜王戦七番勝負は第4局を終えて2勝2敗の五分の星。藤井王将の4勝1敗と予想していた永瀬九段は「私の予想を覆してきた。勇気さんは先手と後手を割り切ってパッパと指している印象がある。竜王戦の後に私が王将戦で挑戦するので、勇気さんにはとことん頑張ってもらいたい。勇気さんが(2勝して)満足していないことを願うばかり」と、藤井王将の体力を削れるだけ削っておいてほしいという思いを冗談交じりに語った。

 ◇一日一日100%出し切る

 以前は、対局前日の勉強時間を抑えていた。「今は一日一日100%を出し切ることを、365日繰り返している。対局前でも後でも崩していない」と語り、「軍曹」の異名を取るストイックな姿勢を明かした。

 藤井王将と永瀬九段は練習将棋を重ねてきた研究仲間。「藤井王将には今も教わっている。かなりありがたい時間で一番勉強になる人。七番勝負直前でなければお願いしたい」と尊敬する相手との長い戦いが、年明けから始まる。【丸山進】

毎日新聞

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