斎藤知事の代理人「あたかも仕事のよう、認識違う」 PR会社投稿に
兵庫県西宮市のPR会社社長の女性が斎藤元彦知事(47)から、知事選でSNS(ネット交流サービス)戦略を含む「広報全般を任された」とインターネットで発信した問題で、斎藤氏の代理人弁護士が27日、神戸市内で記者会見し、「事実ではない」と主張した。斎藤氏側はポスター製作費などの名目でこの会社に約70万円を支払ったが、公職選挙法で認められている範囲の対価だとして、違法性を否定した。
代理人の奥見司弁護士によると、斎藤氏は支援者からの紹介で9月29日にPR会社を訪問し、社長と面会。選挙に出馬した場合にどのような協力ができるのか、ポスターデザインの製作やSNSの利用について説明を受けた。後日、ポスター製作やユーチューブの動画撮影などのプランと見積もりが届けられた。そこに広報全般やSNS戦略の提案はなく、斎藤氏側は公選法で対価の支払いが認められているポスターやチラシの製作など5項目に絞って依頼したという。
奥見弁護士は、PR会社から斎藤氏の後援会宛てに届けられた請求書と、振り込みの明細書を公開。請求書には、公約のスライド製作(30万円)やポスターのデザイン製作(5万円)などの内訳と、5項目計71万5000円の請求額が記載されていた。告示日の10月31日に届けられ、11月4日に後援会名義の銀行口座から代金を振り込んだという。契約書は存在せず、口頭合意だったとした。
PR会社社長は斎藤氏の考えに賛同して夫と共に選挙戦に関与した。公式アカウントの取得や記載事項のチェック、街頭演説会場での動画の撮影などを手伝ったという。選挙期間中に有償で主体的に広報業務を担った場合、公選法が禁じる買収に当たる恐れがある。奥見弁護士は「5項目以外の活動はボランティアの一員として行われたもので、報酬の約束や支払いはなかった」として、「公選法が禁じる買収には当たらない」と主張した。
PR会社社長は20日付でインターネットの投稿プラットフォーム「note」で「広報全般を任せていただいた」などと発信。SNS運用について「私が監修者として、運用戦略立案、アカウントの立ち上げなどを責任を持って行い、信頼できる少数精鋭のチームで協力しながら運用していました」と明かしていた。
奥見弁護士は「あたかも仕事として請け負ったように書いている。斎藤氏や陣営からすると、個人の(応援)活動は頼んだものでもなければ、お願いしたものでもない。そこについては認識の違いがある。その理由は会社や社長に聞いてもらいたい」と話した。
斎藤氏も27日、再選後初の定例記者会見に臨み、「(社長の発信を)事前に聞いていないし、内容自体も確認していない。発信後に知った」と述べ、「若干の戸惑いはある」と話した。記者から詳しい説明を求められると、「代理人(弁護士)に聞いてほしい」との発言を10回以上繰り返した。【大野航太郎、長沼辰哉、中田敦子】
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