「地方創生のカギになる」 東九州新幹線の整備目指してシンポジウム
東九州新幹線の整備を目指す宮崎県は15日、機運醸成に向けた「みやざきの新幹線を考えるシンポジウム」を宮崎市で開いた。河野俊嗣知事に加え、大分県の佐藤樹一郎知事もリモート参加し、共に整備の必要性を強調した。
宮崎、大分両県は福岡、鹿児島両県、北九州市と「東九州新幹線鉄道建設促進期成会」を構成している。東九州新幹線は1973年に国の基本計画路線に位置づけられたものの大きな進展がなく、宮崎、大分両県ではルートごとに試算を公表するなどして、機運を高めようとしている。
河野、佐藤両知事はシンポジウムで地域に新幹線が走るメリットを訴えた。宮崎は交通の不便さから「陸の孤島」とも言われており、河野知事はあいさつで「新幹線は我々にとって悲願だ」と語った。その上で、大量輸送や時間短縮など期待される効果を列挙し、「宮崎の将来にとって欠くべからざるものだ」と言葉に力を込めた。
佐藤知事も「地方創生のカギになり、日本全体の国力の強化につながる」と訴えた。また「エリア全体の理解の促進が大事」と機運醸成の必要性にも触れた。
シンポジウムでは、九州経済調査協会の岡野秀之常務理事の基調講演もあった。岡野氏は「小倉から鹿児島中央の沿線人口230万人で、他の整備新幹線と遜色ない。十分ポテンシャルが高い」と強調。「時間距離の格差が大幅に解消され、九州1500万人経済圏が2時間以内になり、マーケットが広がる」と利点を述べた。
「新幹線で変わる暮らし」などをテーマにしたパネルディスカッションもあった。宮崎観光ホテルの津曲章子・取締役営業本部長は、新幹線がないため関西から修学旅行を誘致できていない現状を説明し、「宮崎に来やすい環境をつくり、滞在していただくと、観光消費額が上がる」と期待を語った。
会場には県民ら約150人が訪れた。宮崎市の自営業の男性(52)は「インバウンドなどで九州の東西格差を感じている。新幹線への期待が強まった」と話した。【下薗和仁】
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