国立病院の看護師、賃上げ求め全国で一斉スト 「人の流出止まらぬ」

2025/02/28 11:06 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 独立行政法人国立病院機構の病院で働く看護師らで作る労働組合「全日本国立医療労働組合」(全医労・前園むつみ委員長)が28日、常勤職員の基本給4万円、非常勤職員の時給250円の賃上げを求め全国の支部で一斉にストライキに入った。同労組は2023年に31年ぶりにストライキを実施、今回のストは2年ぶり。労組の119支部、約209人が1時間の指名ストを行った。

 東京都内では、東京医療センター(目黒区)や東京病院(清瀬市)など3病院でストを行った。神奈川県で神奈川病院(秦野市)など3病院、千葉県では千葉東病院(千葉市)で、埼玉県では東埼玉病院(蓮田市)など各地に広がった。

 全医労によると、今回ストの対象になったのは24年の賃金交渉で、賃上げ要求に対してはゼロ回答だという。25年春闘が始まる中で24年交渉がまだ妥結していない。国立病院の賃金は公務員に準拠するとされているといい、24年の人事院勧告は公務員の賃上げを勧告している。全医労は「他産業の賃金が上がる中、賃上げゼロではただでさえ人員が不足しているのに、人員の流出が止まらなくなり地域医療が崩壊する」と訴えている。

 今回のストに国立病院機構は「労組の要求を受け3回交渉し、厳しい経営や人材確保の考えを示したが、妥結に至らず残念だ。ストで(患者に)影響が出ないようにしたい」と話した。【東海林智】

毎日新聞

社会

社会一覧>