旧松山藩主、久松家の史料1万6692点寄贈へ 現存に研究者も驚き
旧松山藩主の久松家で保管されていた史料が、愛媛県に寄贈されることになった。史料は徳川家康の書状や、松山城三の丸を立体的に描いた絵図など、室町から昭和時代にかけての古文書、書籍、絵地図など約1万6000点。これだけの規模の旧大名家の史料がまとまった形で現存している例は全国でも珍しいといい、専門家は「松山藩や愛媛県の歴史を伝える重要な史料だ」と話している。
松山藩の初代藩主・松平定行の父定勝は、徳川家康の異父弟。久松氏は、江戸時代は松平姓を名乗ったが、明治維新以降は旧姓の久松姓に戻り、華族の伯爵家に列した。
今回の寄贈は、久松家が設立した一般財団法人「久松常盤会」(新居浜市)と県が発表。久松家の蔵で保存されていた史料は計1万6692点で、研究を委託された愛媛大が2020年7月~25年3月の約5年間にわたって調べた。調査に関わった愛媛大法文学部の胡光教授(日本近代史)によると、研究者も久松家の史料が現存していたことは認識しておらず驚いたという。
史料は保存状態が良く、どれも歴史的にも貴重。古文書では徳川家、松平家に関わるものが多い。小牧・長久手の戦い(1584)の状況を記した家康と織田信雄(織田信長の次男)が連名で出した書状では、配下の武将に城を持ちこたえるように伝える内容が書かれており、決戦前の緊迫した様子がうかがえる。松山城三の丸を描いた絵図は、室内の畳やふすま、床の間、庭の樹木を鳥瞰(ちょうかん)的に詳細に描写している。三の丸は明治時代に火災で焼失したため、史料に基づいて復元することも可能になるという。
また、藩主や家臣、有名俳人の俳句作品も多く残されている。当時の大名家では和歌や漢詩をたしなむのが一般的で、一連の史料から「俳句大国」と呼ばれる愛媛の原点も垣間見えるという。明治以降の史料では、16代当主の定謨(さだこと)がフランスに留学した際、旧松山藩出身で、後に陸軍大将となる秋山好古と撮影した写真も。好古は「日本騎兵の父」と呼ばれ、司馬遼太郎の小説「坂の上の雲」の主人公としても広く知られている。
愛媛県美術館(松山市)で22日にあった報告会で、胡教授は「全国で300の大名家があったとされるが、売り払われたり、戦災で燃えたりしてほとんど史料は残っていないので貴重な例」と解説。22代当主の久松雷太さん(53)は「文化遺産を手元にとどめるのではなく、未来を担う世代へ継承することが真の価値を発揮することにつながる。伊予松山藩の功績を後世に伝えてほしい」と話した。
この日は、東京都にある久松家の墓所の発掘調査結果も公表された。史料は今後、松山市とも協議し県内の各施設で所蔵される予定。所蔵品の一部は、県美術館で6月1日まで展示している。入場無料。【広瀬晃子】
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