名古屋の保育園がカスハラ対策 相談窓口を設置、保護者にも防止訴え

2025/06/15 07:15 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 暴言や暴力、理不尽な要求などを受ける「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が保育現場でも横行しているとして、保育園の運営会社「こどものまち」(名古屋市北区)が対策に乗り出している。保育士らがLINE(ライン)で会社に被害を報告する仕組みを作り、保護者にもポスターなどでカスハラへの注意を呼びかけ、トラブル防止を目指す。同社によると、保育園でのこうした取り組みは珍しいという。

 同社は東海地方を中心に八つの保育園を運営している。ある園では、保育士が走ってけがをした園児の保護者から「けがをしないようにするのが仕事だろ」との暴言を受けた。遠足に必要な交通費の支払いを求めると「園が負担すべき」として、拒まれたこともあった。3年ほど前から、こうしたケースが相次いでいるという。

 このため昨年5月、園職員らがLINEで相談できる窓口を設置した。今年4月には、園内にカスハラ防止を訴えるポスターを掲示し、保護者にも問題をアピール。実態を正確に把握するため、園職員へのアンケートも実施している。

 近年は送迎バスで子どもが置き去りにされたり、園児がたたかれたりするなどの事案が各地で発覚している。「こどものまち」社長の山田清隆さん(37)は「保護者は不適切保育をニュースで見聞きして、園に不信感を抱きやすくなっている」と分析する。こうした背景もあって、保育現場は「保護者が優位」になりがちだという。山田さんは「職員を守るとともに、保護者と友好な関係を築き、安心して子どもを預けられる保育園にしたい」と話している。【黒田麻友】

毎日新聞

社会

社会一覧>