カンボジアがICJに申し立て タイとの国境領有権問題巡り

2025/06/15 17:45 

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 カンボジア政府は15日、緊張が高まっている隣国タイとの国境紛争に関して、国際司法裁判所(ICJ)に判断を求める書簡を送付したと明らかにした。両国は国境地帯で長らく領有権問題を抱えてきた。5月下旬に銃撃戦が発生してカンボジア兵1人が死亡したことを受け、国境検問所の移動が制限されるなど状況が緊迫した。

 両国は14日からカンボジアの首都プノンペンで合同国境委員会を開き、緊張緩和に向けて協議を行った。タイ外務省の広報官は「相互理解を深められた」と成果を強調したが、問題の根本的な解決には至っていない。

 カンボジアのフン・マネット首相は15日に交流サイト(SNS)で「武力衝突のリスクが高い地域での国境紛争を解決するため、ICJを通じた国際法に基づく平和的解決を選んだ」と述べた。タイ側は2国間で解決すべきだとの立場で、ICJの介入を望んでいない。

 緊張の高まりを受け、タイ政府は11日にカンボジアの国境地帯への電力供給やインターネット回線を遮断すると発表した。特殊詐欺などの犯罪拠点を撲滅するためと説明したが、実際にはタイ側からの供給に頼る地域への圧力だ。

 一方、カンボジア政府も国内のテレビ局や映画館に対し、タイ映画の放送見合わせや上映停止を通知。上院議長を務めるフン・セン前首相はタイ製品の輸入停止や、タイで働くカンボジア人労働者の帰国を提言した。【バンコク武内彩】

毎日新聞

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