原爆小頭症の被爆者らでつくる「きのこ会」 広島で結成60周年祝う

2025/06/28 16:22 

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 妊娠早期の母親の胎内で原爆の放射線を浴び、脳や体に複合的な障害を負って生まれた原爆小頭症の被爆者と家族でつくる「きのこ会」は28日、広島市内で会員の79歳と結成60周年を祝う会を開いた。会場には結成翌年の1966年から70年代前半に撮影された会員の写真が展示され、参加者が思い出を語り合った。

 この日は会員3人と支援者ら約50人が集まり、オンラインでも横浜市の中井新一さん(79)ら会員2人が参加。支援者が用意した誕生日ケーキのろうそくの火を吹き消し、元気に集まれたことを喜び合った。

 原爆小頭症の兄の世話をしている長岡義夫会長(76)は「『20歳までは生きられないだろう』と言われたみなさんが、来年は80歳になる。いつまでも一番若い被爆者でいてください」とあいさつした。また会員だった広島県三次市の岸君江さんが今年1月に亡くなったことが報告され、参加者全員で黙とうした。

 会場には結成初期に撮影された写真パネルの一部が飾られた。大学時代の同級生と2人で撮影した重田雅彦さん(80)=広島市安佐北区=は、被爆による差別を恐れて母親が家を出て行き、父と原爆小頭症の娘が2人で食事する写真を見せながら、「原爆は体を傷つけるだけでなく、家族まで崩壊させる。震えながらシャッターを切りました」と語った。【田中博子】

毎日新聞

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