「出生地主義」最高裁判断をトランプ氏称賛 司法の歯止めに懸念も
米連邦最高裁が27日、「出生地主義」制度を巡る大統領令について、各地の連邦地裁には原則、全米一律で差し止めを命じる権限はないとの判断を示した。今後はその他の大統領令にも同様の判断が適用される見通しで、トランプ大統領にとっては政策推進の障壁が一つ取り除かれた形だ。
◇満足顔のトランプ氏
トランプ氏は最高裁の判断後、ホワイトハウスで急きょ記者会見を開いた。「憲法、三権分立、法の支配にとって記念すべき勝利をもたらした」と称賛。「最近の数カ月間、少数の過激な左派判事たちが、米国民が記録的な投票で支持した政策を阻止するため、大統領の正当な権限を事実上覆そうとしてきた。これは民主主義に対する深刻な脅威だった」などと語った。質疑応答の間、何度も笑みを浮かべたり、おどけてみせたりして判決への満足感をにじませた。
◇反トランプの切り札
トランプ氏は2期目就任以降、世界保健機関からの脱退▽国境警備の強化▽地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱――などの多くの大統領令に署名し、政策の大転換を図ってきた。連邦上下両院は与党・共和党が多数派で、十分にチェック機能を果たしているとは言い難い。
これに対して反対派が切り札としてきたのが、司法の場での差し止め訴訟だ。米議会調査局によると、第2次トランプ政権で大統領令が全米で差し止められた件数は4月29日までで25件にも上る。移民規制や性的少数者の権利の制限、政権の意に沿わない教育機関や団体に対する連邦資金の凍結などが含まれ、トランプ氏にとっては大きなハードルとなってきた。
◇「司法のチェック低下」指摘も
ところが今回の最高裁判断によって、政権の政策に憲法上の疑義があって各地の裁判所で差し止めが認められたとしても、訴訟の当事者以外は救済されない可能性がある。
最高裁は今回、影響を受ける人が大規模にまとまって集団訴訟を起こすことは可能で、救済の道は残っているとの考えを示した。ただ集団訴訟は参加資格があるかどうかのチェックや、訴訟活動への参加が求められ、加わる負担は小さくない。
リベラル派のソトマイヨール連邦最高裁判事は法廷で「裁判所の決定は政権の憲法無視を招く以外の何ものでもない。行政府は確立された法を無視し、数え切れないほどの個人の憲法上の権利を侵害する政策を施行できるようになった」と批判した。
エール大法科大学院のジュディス・レスニク教授は「ホワイトハウスに対する連邦裁判所のチェック機能の劇的な低減につながる」と話す。【ワシントン西田進一郎、金寿英】
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