トランプ氏の出生地主義見直しに追い風 最高裁、一律差し止め認めず
米連邦最高裁は27日、米国で生まれたほぼ全ての子供に自動的に米国籍を与える「出生地主義」制度を見直すトランプ政権の大統領令に対する一連の差し止め請求訴訟について、各地の連邦地裁には原則、全米一律で差し止めを命じる権限はないとの判断を示した。命令の効力は訴訟当事者の個人や団体、州などに限定されると判断した。
大統領令の施行は30日間保留されるものの、訴訟に加わらなかった一部の州などで出生地主義の見直しが進む可能性がある。さらに各地の裁判所による他の大統領令に対する差し止め命令にも一定の制限がかかることになり、トランプ大統領は「歴史的勝利だ」と誇った。
最高裁は連邦裁判所が原告の救済に必要な範囲を超え、全米一律に差し止めを命じることは「権限の逸脱」と指摘。下級審に適用範囲の再考を促した。ただ大統領令が合憲かどうかの判断は10月以降に審理される見通しで、最終的な結論は先送りされた。
トランプ氏は2期目就任初日の1月20日、出生地主義を見直す大統領令に署名。両親が不法移民の場合や、米国籍取得を目的に外国人が米国に一時滞在して出産する「バース・ツーリズム(出産旅行)」については、米市民権を認めない方針を示した。
これに対し団体や個人、22の州政府などが大統領令について、「米国で生まれ、あるいは国籍を取得した者、および米国の管轄権の対象になる者は米国の市民である」と明記した合衆国憲法修正14条に違反しているとして提訴。うち3州分で、連邦地裁は大統領令の施行を全米で差し止める判断を示していた。
トランプ政権は命令の効力を訴訟を起こした当事者に限定して適用するよう求めていた。
判事9人のうち、保守派6人が多数意見、リベラル派3人が反対意見を表明。反対意見のジャクソン判事は「訴訟当事者以外に対し、行政府による憲法の侵害を許容するものであり、法の支配に対する極めて深刻な脅威だ」と述べた。
トランプ氏は大量の大統領令を出して独自政策を進めようとしてきたが、各地の裁判所による多数の差し止め命令を受けて実行は停滞していた。それだけに今回の最高裁判断は追い風となる。
米メディアによると、1990年代に入って連邦議会で党派対立が深まるにつれ、立法を回避した大統領令の増加に伴って裁判所による全米レベルの差し止め命令も増加傾向をたどっている。トランプ政権1期目では前任のオバマ政権から5倍超の64件に急増。バイデン政権でも28件あり、トランプ政権2期目では既に20件を超えているという。【ワシントン金寿英】
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